障害のある息子と、きょうだい児を同時に育てるには? 子育て中ライターの実体験
筆者には、知的障害を伴う自閉症で特別支援学校に通う7歳の息子と、きょうだい児(障害や病気を持つ兄弟姉妹がいる子ども)である3歳の娘がいます。どんな子どもでも子育ては大変なことだと思いますが、障害がある子どもときょうだい児を同時に育てる日々の中では、時に、激しい孤独感や、絶望に近い心境に至る事態も起こります。精神的にも肉体的にも、親が無理して倒れてしまう前に、家族以外に頼れる人や相談場所をつくることが大切だと思います。今回は、そうした考えに至った経緯をお話しします。 【イラスト】障害のある息子と、きょうだい児、母親を支えてくれる周囲の人たち
「1人で」育てる難しさ
発達障害などの多くの障害は、妊娠中や赤ちゃんの頃には分かりません。息子は1歳を過ぎた頃から発達の遅れを指摘されたため、2歳から親子で児童発達支援センターなどに通って療育を受けさせてきましたが、娘が生まれた頃になっても息子は、はっきりとした障害の診断はされませんでした。当時は障害についても福祉についても、自身の知識が乏しく、ただ目の前の2人の子どもを育てるのに必死でした。 娘が生まれてすぐの頃、息子は「赤ちゃん返り」が激しく、ささいなことでかんしゃくを起こしました。やたらと抱っこを求め、降ろすと泣きわめき、お風呂に入れるのも困難でした。弟や妹が生まれたときの「赤ちゃん返り」は、定型発達の子どもでも見られるようですが、息子は言葉が遅れていたこともあってか、激しいかんしゃくで不満や不安を表現していたようです。 娘が3、4カ月になった頃、短期間だけ息子を保育園に預けた際に、迎えにきた筆者が娘を抱っこしているのを見て、激しいかんしゃくを起こしたことがありました。困り果てた様子の保育士さんたちに謝りながら、タクシーを呼んでもらって息子を無理やり車に押し込みました。しかし息子は、タクシーの車内でも大声を上げて暴れ、運転手さんの売上金の袋の中身をぶちまけてしまったのです。母親なのに、どこに行ってもうまく息子を制することができず、人に迷惑ばかりかけてしまう自分がふがいなくて、家に着いた途端に泣き崩れました。 その頃は、「大変なのは今だけだ」と思っていましたが、その後、娘が成長して抱っこひもに入らずに自分で歩くようになると、子どもそれぞれが別の動きをしたがるので、移動はさらに難しくなりました。もともと実家が遠方にあって両親に頼れず、夫も仕事で帰りが遅い日々。筆者は、「自分の子どもなのだから」と、全て1人で抱え込もうとしていたのです。