「色白で華奢で目が大きいのがいい」という刷り込み…【永井ローラ】無意識な差別をしないために気をつけていること
日本とスリランカをルーツに持つ永井ローラさんのTikTokをご存知ですか? 人種のことや女性ならではの悩み、セクシュアルマイノリティについて、また日常の中でふと遭遇した「はて?」という出来事について、「これってどうなの!?」「おかしくない!?」と逐一疑問をぶつけ解決策を考えていこうとするトークが、とっても分かりやすくて共感できると人気を集めています。 「ハーフなら英語喋れるの?」「日本人より日本人だね」日本人が抱きがちな無意識の偏見 ローラさんがよく取り上げているテーマの一つが“マイクロアグレッション”。つまり偏見や思い込みからくる自覚なき差別です。マイクロアグレッションは、受けることもあれば反対に悪気なく自分がやってしまうことも。だからこそ永井さんは小さな疑問もスルーせず、TikTokで毎日発信を続けているんです。 気づかないうちに誰かを傷つけてしまわないためには? そして差別や偏見から自分と、自分の大切な人たちを守るには? このたび、永井さんと一緒にいろいろ考えてみました!
色白で華奢で目が大きいのがいい、という刷り込みをなかなか消せなかった
――永井さん自身が無意識に抱いていたバイアスに気付いた、という経験ってありますか? ありますあります。中学生のとき、日本人とアフリカ系フランス人のハーフの同級生がいたの。彼女は髪がフワフワで、「カワイー♡」って、私無断で触っちゃったんですよ。嫌な反応はされなかったんだけど、後から、「そこまでの関係性も築けていないのに、いきなり触ったりしてめちゃくちゃ失礼だったな」と気づいて。これって「めずらしい髪質だから触ってOKでしょ!?」という無意識の偏見を抱いていたからだなって、反省しました。 ――それって多くの人が悪気なくやってしまいそう!でも容姿のことに触れるときって、おっしゃるように相手との関係性や距離感をちゃんと考えないとダメですよね。 容姿への偏見で言うと、私は10代からずっと、肌が白くて華奢で目が大きい、というのが美しいと思っていて。だからいつも「痩せたい」って言っていたの。20代になると海外の美の基準も知るようになって、「いろんな美しさがある」と頭では分かるようになったんだけど、それでもやっぱり華奢になりたいと思い続けていて。だけどそこから海外の友達も増えて、やっと実感として変わり始めたんです。 たとえばイランの人は鼻が高すぎるのが嫌でわざと低くすることもあるって言うし、国によっては「顔が小さい=脳みそが小さい」という意味になって失礼になる。本当に美の価値観て国に様々なんだと知って、そこからたどり着いたのが、人間は花と一緒だ!というもの。花って種類によって見た目も良さも全く違うじゃないですか。同じように人間も、人種によって生まれ持った良さが違う。黒髪もブロンドヘアも、みんな良いじゃん!て。 ――なるほど! だから私いま、その人が自分の意思で変えられるものだけを褒める、ということを意識しているの。顔立ちとか、ヒップが大きいとかは、生まれ持ったもので変えられないじゃないですか。でも洋服とかメイクとかは自分の意志で変えられるもの。自分でチョイスしたものなら「いいね」って言っていい、そう考えているんです! ●PROFILE 永井ローラ 1993年生まれ。人種やフェムテック、LGBTQなど現代社会の課題から、最近笑ったこと、イラッとしたこと、くだらない出来事まで、幅広いトピックについて軽快に語るTikTokが大きな支持を集め、次第に発信者として注目されるように。TikTokの他、Podcastで『永井ローラのMONDAY TALKBOX』も配信中。 ---------- Photos:Maki Kusakabe Interview&Text:Naoko Yamamoto
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