イリがやって来る ヤァ! ヤァ! ヤァ!【「新型コロナウイルス学者」の平凡な日常】
■イリ、来日 羽田空港第3ターミナルで、ラボの大学院生と一緒にイリを待つ。イリは、大きなバックパックを背負ってやってきた。彼はこれが初来日である。 経験上、日本を含めた東アジアへの訪問経験の有無は、特に欧米人を接待する際には重要な情報となる。初来日の場合はなおさらで、生鮮食品を食べることや、公共の場で全裸になることに強い抵抗を示す場合がままあることに留意すべきである、と個人的には思っている。文化は国によって、あるいは人によってさまざまであるので、「日本文化を伝えたい!」と、良かれと思って寿司や刺身をごちそうしたり、温泉に連れて行ったりしても、それが逆効果になることもあったりする。 イリを品川のホテルにチェックインさせて、少し早いランチをとる。そばや天ぷら、洋食など、いろいろな可能性を考えていたが、上記のようなことも考慮して、まずは無難にファミレスに入る。朝の和定食とパエリア、ハンバーグを注文。まずは日本の朝ごはんにチャレンジしてもらい、難しそうならパエリアかハンバーグを食べてもらおう、という魂胆である。 イリは、「知らない文化はなんでもチャレンジしたい!」という発想の持ち主で、紅鮭の塩焼きや白米、味噌汁、豆腐、さらにはしば漬けまでなんでも食べた。味付けのりの使い方を教えたら、しば漬けを具に、器用に箸で白米を巻いて、巻寿司のようにして食べていた。こういう、異文化や知らない食べ物にチャレンジングな姿勢は、接待する側としてはやはりすごく嬉しくなるし、そういう姿勢はこちらとしても見習いたくなる。
■イリ、熊本へ 翌日、品川のホテルで合流し、再び羽田空港へ。羽田では、「ザ・港屋ラウンジ」の肉そばを食べる。意外と盲点だが、メンチカツや唐揚げも、日本独自の、外国からの訪問客に人気のメニューである。そばも副菜もぺろりと食べた。 羽田から一路、熊本へ。G2P-Japanのメンバーである、熊本大学のIと宮崎大学のSと合流。ここで、6月のプラハのメンバー(41話)が全員再会した。熊本の晩餐では、馬刺しやふぐの唐揚げ、金目鯛の煮付けなどを楽しんだ。 翌日からの2日間、「熊本エイズセミナー」という研究集会に参加。イリはこの集会に、招待演者として参加した。昼食には、私のいきつけの煮干しラーメンの店で4人、舌鼓を打った。