イリがやって来る ヤァ! ヤァ! ヤァ!【「新型コロナウイルス学者」の平凡な日常】
連載【「新型コロナウイルス学者」の平凡な日常】第70話 G2P-Japanの一員でもある海外の研究者を、日本に招待することになった。全国にメンバーが散らばるG2P-Japanの特性を活かし、日本各地をめぐる。そんな彼が、来日でいちばんダメだった食べ物とは? 【写真】肉そばをペロリと食べたイリ * * * ■イリを日本に呼ぶ 2023年6月、私と熊本大学のI、宮崎大学のSの3人は、チェコのプラハを訪れて、G2P-Japanのプロジェクトを一緒に進めてきた、Jiri Zahradnik(イリ・ザフラドニク)と初対面。プラハの旧市街でピルスナーを飲みながら、サイエンスの話に花を咲かせた(41話)。 イリとのつながりについては40話でも紹介しているが、改めて。 G2P-Japanの研究活動を始めて間もない頃、新型コロナのスパイクタンパク質と、その感染受容体であるACE2の結合力を調べる実験の必要性に直面していた。どのような方法があるのか、文献を調べていたところ、イスラエルのワイツマン研究所にいる旧知の研究者がその実験に精通していることがわかり、さっそく彼に協力を仰いだ。 彼はそれを快諾してくれて、共同研究が進んだわけだが、イリは当時、その研究室に所属するポスドク(博士研究員)だった。彼がその実験をバリバリ進めてくれたおかげで、G2P-Japanの研究にも一層の厚みがもたらされたことになる。 それまでの研究業績が評価され、2023年にイリは、母国であるチェコでポジション(職)を得て帰国し、自分の研究室を運営し始めていた。それでわれわれは、彼に会うために、6月にプラハを訪れたわけである(40話)。 今や正式にG2P-Japanの一員となったイリであるが、同じ年の11月、われわれはイリを日本に招聘することにした。約5ヵ月ぶりの再会である。やはり初対面とは違うもので、「ひさしぶり!」から始まる会話はいいものである。 「外国の研究者を日本に呼ぶ」というのは、「アカデミア(大学業界)」ではよくあるイベントである。共同研究の打ち合わせとか、学会などの研究集会への招待など、目的はさまざまである。この年の9月には、この連載コラムにも何度か登場したことがある、イギリス・ケンブリッジ大学のラヴィ(15、17、56話に登場)をはじめとした共同研究者や知り合いたちを、軽井沢で開催された研究集会に招待している(ちなみに14話の冒頭の画像は、その時の集合写真)。 また逆に、この連載コラムの22話では、私がドイツウイルス学会から招待されたときの顛末も紹介している。 今回はちょっと変わった試みで、「G2P-Japanでイリを招待しよう!」という試みである。これまでも何度か紹介したように、G2P-Japanのメンバーは全国に散らばっている。その特性を活かして接待してみよう、と考えたわけである。