網野子トンネルで防災訓練 広域での応援体制確立へ 鹿児島県奄美大島
鹿児島県奄美市住用町役勝と瀬戸内町勝浦を結ぶ国道58号網野子バイパス「網野子トンネル」(延長4243㍍)で12日、車両の衝突事故と火災発生を想定した防災訓練があった。県や瀬戸内町、警察、消防など10機関52人が参加。救助や消火活動など連携を通し、一連の手順を確認した。 事故は瀬戸内町側抗口から約800㍍地点のトンネル内で乗用車が正面衝突し、3人が負傷。燃料漏れによる車両火災が想定された。 訓練では事故発生後、目撃者がトンネル内の非常電話で通報。警察官が駆け付け、通行規制や避難誘導とともに、運転者が脱出できないことを確認。救急隊員が特殊資機材でドアを破壊し救出した。 救助後に発生した車両火災では、消防隊員が放水を実施。鎮火後は警察官による現場検証も行われた。 訓練後の講評で、大島地区消防組合名瀬消防署の泊智仁署長は「トンネル内の事故は被害が拡大しやすく救助、消火活動には迅速な対応が求められる。各関係機関が情報を共有し、被害の軽減に努めたい」と総括。大島支庁瀬戸内事務所の上拾石(かみじっこく)斉宏所長は「観光客が増加し、交通量も増えている。訓練の成果を生かし、広域での応援体制を確立したい」と述べた。 網野子トンネルは奄美群島内最長のトンネルとして2015年3月に供用開始。訓練は供用開始前を含めて今回で10回目。瀬戸内署によると、同トンネル内での事故件数はこれまで人身事故が3件発生している。