『虎に翼』で話題の土居志央梨、素顔は“よね”とは正反対「笑い上戸で、性格も楽観的です」
印象に残っている俳優は天海祐希
──ここで改めて土居さんのこれまでの経歴を振り返ると、いろいろと研鑽を積まれていらっしゃる。映画『リバーズ・エッジ』では、主人公の友人「小山ルミ」役で、性的表現を含むシーンにも挑んでいます。 土居:懐かしいですね。この映画は大学卒業後、上京して初めてつかんだ役なので、とても印象深くて。あの行定勲監督だし、岡崎京子さんの原作も好きだったので強い思いでオーディションに臨みました。 ――共演した中で印象に残っている俳優さんはいますか? 土居:天海祐希さんです。ドラマ『緊急取調室』にゲスト出演したとき、初めてお会いしたのですが、まるで後光が差しているようでした。その後、『広島ジャンゴ2022』という舞台で共演させていただいた際には、「こんなに“背中”で導いてくれる、カッコいい座長がいるんだ!」と思って。 後輩にあれこれアドバイスするというより、天海さんが稽古している姿を見ていると、こちらも自然と「頑張ろう」と思えてくるんです。とても優しくて素敵な方で、またぜひご一緒したいですね。 ――あと、これも僕、びっくりしたんですけど、土居さん10年ほど前には先ほど名前が挙がった林海象さんの作品にも出ていらっしゃる。 土居:京都芸術大学に在学しているときですね。当時、海象さんが私が在籍していた映画学科の学科長だったんです。 ──実は僕の妻を弁護士に導いてくれたのも海象さんなんですよ。東大に入学したものの、飲んだくれてた時期に「ふさこ、お前は弁護士になれ」と海象さんに一喝されたんです。 土居:そんなつながりがあったとは! 海象さんは先生でもありますが、“近所のおじいちゃん”のような存在。遊び心がある方で、とても楽しい方ですよね。
よねと自身との共通点は幼少期の体験
──これまで演じられたことがある役は、いずれもロングヘアだし、笑顔がある役が多い。いずれもよねとはギャップがありますね。 土居:今回のお話をいただいたとき、演出の方から「みんなから“一歩引いて”見ている感じが、よねだと思った」と言われたんです。そのときはピンとこなかったんですが、よくよく考えてみると子どもの頃、父の仕事の都合で転校がとても多くて。 転校先の学校では人気者になることもあればいじめられることもあり、周りの大人やクラスメイトの様子を常に観察していたんですよね。「この人たちは、今何を求めているんだろう」「どうやったらこの輪に入っていけるんだろう」って。 ――『虎に翼』でも、よねが寅子たち女学生の輪から離れているシーンがたびたび描かれていましたね。 土居:女子部のみんながワイワイお弁当を食べているとき、よねだけひとりパンをイライラしながらかじっているシーンは、自分以外の人が楽しそうにしていて、自分は輪に入っていけない当時の気持ちが演じながらも蘇ってきました。