旅館を超えた高級ホテル ザ・リッツ・カールトン京都とは
■「ホテルフジタ」の面影を残す 古き良きものを今に活かす 実は、この場所は、「ホテルフジタ」の跡地。かつて有名スター達が好んだというホテルフジタには、名物の滝があった。「ホテルフジタのバーで滝を見ながら飲む」というのは、京都の若者にとっては憧れのデートスポットだった。今では採掘不可能であろう滝石をそのまま残し、日本料理店や地下のプールから鑑賞できるようにし、別館として使われていた書院造の夷川邸をイタリアンレストラン内に移築して使用している。 風水的なコンセプトに基づいて作られた4つの庭にも、ホテルフジタで使用されていた庭石や灯篭などを置いている。歴史的、建築的に価値のある古き良きものを再利用し、現代的な物と融合させているのも、ザ・リッツ・カールトン京都の大きな特徴だ。 随所にある409点ものアートワークは源氏物語をテーマにし、スパやトリートメントルーム、はたまたチャペルまでもが“和テイスト”。これでもかと“和推し”でありながら、その一方で、ホテル内のピエール・エルメ・パリでは、同店では日本で初めてとなる生ケーキやクロワッサンも扱うという、 “洋”の部分も、さりげなく取り入れている。 「伝統・文化」と「現代的・最先端」という相反するもの同士を融合させた、旅館と最高級ホテルの“いいとこ取り”のホテル。ここを知れば、「京都に泊まるなら旅館でしょ」、という安易な発想はできなくなるだろう。祇園や河原町、先斗町など繁華街にも近い京都の中心地で、“京都らしさ”を存分に味わいながら上質な時間を過ごす。今までになかった「京都」を、ザ・リッツ・カールトン京都は提供してくれるはずだ。 (取材・文/土井麻由実)