微生物を利用する生物反応器ロボット、太陽系の植民地化の助けに
宇宙開発に微生物を利用する理由と目的
■微生物は天然の化学工場 コッケルによると、微生物は天然の化学工場であり、何十億年もの間に、化学物質の変換を実行するように進化してきた。 微生物は、炭素質小惑星の有機化合物を処理して原材料に変える助けになるかもしれない。この原材料は、プラスチックや医薬品、建築資材などの製造に適しており、外太陽系(小惑星帯より外側の領域)で利用できる可能性がある。 コッケルは2021年に学術誌Microbial Biotechnologyに掲載された論文で、バイオテクノロジーで改変した微生物を利用すれば、地球から輸送しなければならない補給品の量を削減することで、ゆくゆくは人類の前哨基地が自立持続できるようになるかもしれないと記している。 小惑星を「むしゃむしゃ食べる」ロボットマシンMUNCHer(高価値製品のための炭素質小惑星の微生物利用)は、大きさがアナグマから大型トラックまで幅があると、コッケルは論文で指摘している。MUNCHerは前部にある、くちばしのような仕掛けで小惑星の原材料を砕いて取り込み、粉々にする。 ロボット自体の動力源は、原子力や太陽エネルギーになる。 原材料を粉砕する過程で、小惑星や惑星の氷が融解されて得られる水は、生物反応器に流体を供給するために利用されると、コッケルは説明している。 MUNCHerが小惑星を歩いて移動し、岩石を砕いて取り込むと、内部や外部に搭載された生物反応器がその原料を処理し、ロボットや人類が利用できる有用な元素や化合物に変える。MUNCHerが関与するのは、原材料を完成品にすることではない。微生物によって処理された原料を工業用の前駆体材料に変換し、3Dプリンターで使用できるように準備することだ。 何万台ものMUNCHerが岩石を処理しながら、太陽系の小惑星帯から外太陽系に、そしてゆくゆくはカイパーベルトの氷天体や、はるか遠方のオールト雲の彗星にまで、ゆっくりと歩みを進めるだろうと、コッケルは話している。
Bruce Dorminey