アーティストと俳優を分けない「人間、北村匠海」になった。自粛期間を経て魅せる新境地
DISH//のメンバーであると共に、俳優として活躍している北村匠海。感情の起伏を丁寧に描いた繊細な芝居を得意とする彼が大胆なコメディにチャレンジした映画、それが『とんかつDJアゲ太郎』(2020年10月30日公開)だ。 「『人間、北村匠海』としてひとつになりました」と語る北村匠海の撮り下ろし写真を多数掲載 本格的なDJプレイにクールな選曲の数々、最高のサウンドと、音楽好きにこそ映画館で観てほしい一本に仕上がっている。 本作で主役のアゲ太郎を演じた北村匠海に、映画について、自身が好きな音楽について、自粛期間を経たことによる心境の変化について語ってもらった。
体力ゲームで臨んだアゲ太郎
――『とんかつDJアゲ太郎』の主人公・アゲ太郎は、北村さんと似ている部分はありますか。 北村 人間としてのトーンは似ているんですけど、カラーは真逆かも。北村匠海が青なら、アゲ太郎は真っ黄色みたいな感じなので(笑)。役がなじんでいる感覚を味わうのにも時間がかかりました。 ――役と一番シンクロしたシーンを挙げるとしたら、どこでしょうか。 北村 DJをしているところですかね。あのときは、アゲ太郎とリンクしている感が強かった。失敗したら恥ずかしいし、踊っているみんなを見ているのが本当にうれしかったです。アゲ太郎がリアルに味わったであろう感情と、僕自身の気持ちが近かったと思います。 ――今回はコメディということもあり、大きな芝居を求められる場面が多かったと思うんですよ。北村さんは繊細な芝居を得意とする役者さんだと思うのですが、いつもと違う芝居をするにあたって意識されたことはありますか。 北村 あまり考えないほうがいいんだなって(笑)。普段は感覚に落とし込めるまで、わりと考えるんです。そして、その感覚を持ってシーンを歩んでゆく。でも、『とんかつDJアゲ太郎』に関しては突発的なものが多かったし、行き当たりばったりだったし、体当たりだし……考えているヒマもなかったので、もはや体力ゲームみたいな感じで進めていました。 ――大きい演技だからこそ、突発的なものに身を任せていたのですね。 北村 そうですね。大きく動くこともチャレンジのひとつだったんですけど、結果的にそれが手助けになりました。体が動いていないと、声が出なかったりもするので。