カナカン谷口英樹社長 社風守り改革 柔軟性高い企業体質目指す
カナカンの谷口英樹社長は前任の吉田茂氏(現副会長)より引き継ぎ、6月15日に就任。コロナ禍で市場が混乱する中で、地域密着、広域対応フルライン卸として持続的な成長の実現を目指すとともに、北陸3県を中心に新潟、長野の食のインフラを支える。 4月にスタートした新中期3か年計画は、売上高1千720億円、経常利益率1%を初年度目標に掲げた。コロナで世の中の潮流が変わったものの下方修正せず、計画の完遂を目指す。スローガンは、前吉田社長がたてた「挑戦と進化、未来に前進」を引き継いだ。 期中の着任で流れを変えないという理由のほか、「社内を固めようと、歴代社長が取り組んできたことを守っていきたい」気持ちがあるからだ。 一方で利益体質な企業にするため、抜本的に改革する。 巣ごもり消費は家庭用商品の追い風になったが、全体の3割弱を占める業務用は苦戦する。人海戦術でやってきた外食部門は、売上げが下がってもコストは変わらない。「損益分岐点に合わないと大きなマイナスになる」と痛感した。コロナを機に旧態依然な作業の効率化を図る。守るべきもの、変えていくべきものを明確に分けて取り組む。 同社では近年、低温部門を強化し、4月には金沢市内に低温センターを稼働した。中計最終年度の2022年春には、新潟県長岡市に県下2拠点目となるフルラインを備えたセンターを竣工する予定だ。 「チルドは洋日配、和日配とも可能性がある。洋日配は大手卸が全国で拡大しており、取りにくい部分もあるが諦めている訳ではない。和日配は地域性が反映されるので、売れ筋を捉えてしっかりと伸ばす」。地域密着の強みを生かし、自信をもってやっていきたいと語る。 目下取り組むのは、風通しの良い組織づくり。外出が制限され比較的余裕があるいま、営業所を回り現場の声に耳を傾ける。 各部門長も意見を言いやすい環境づくりに協力的だ。「各分野のスペシャリストがいるのなら、その人たちが同じ方向を向き、力を出してもらうことが大切。私の役目はそれぞれの能力を上手く引き出し、まとめていくこと」。社長一人で会社を動かすのではなく、「仕組みを使って会社を動かす」ことで、時代や環境に対応した柔軟性のある組織にする。 ◇谷口英樹氏(たにぐち・ひでき)=昭和37年10月18日生まれ。63年10月同社入社。平成18年4月取締役、20年4月常務取締役、25年6月専務取締役、30年取締役副社長。令和2年6月代表取締役社長就任。