ガーナも主力不在 なぜ来日する海外チームは拍子抜けメンバーなのか?
長距離移動の影響
理由のほとんどは、日本への移動距離の長さに集約されると言っていい。 ガーナ代表に限らず、アフリカ大陸の強豪国の主力選手は大半がヨーロッパの名前の通ったクラブでプレーしている。ヨーロッパからの飛行時間は8時間から9時間。ガーナ代表の場合は、6日にホームでW杯2次予選を戦っているから、トランジットを含めれば20時間を超える長旅となる。 来日から時差ぼけも解消されない中で親善試合に臨み、再び長時間を費やしてヨーロッパに戻る。こうした過程でコンディションを崩し、所属チームで試合に出られない事態になるとどうなるか。 高年俸を支払っている所属チーム、出場給や勝利給を得られる当該選手ともに不利益を被ることになる。ならば、コンディション不良や故障という理由を添えて、協会側が無理を強いられない状況を作って日本遠征を辞退すればいい。 この日の公式練習後に会見に臨んだ、ガーナ代表のジェームズ・アッピア監督もこう語っている。 「先週の金曜日に試合をしたばかりなので、体調不良や故障の選手を外した」 自国に代表チームを招いて親善試合を行う場合、旅費や滞在費は招いた側のサッカー協会が負担する。もちろんメンバー編成にも条件がつけられるが、コンディション不良などが辞退の理由となれば違約金を請求するわけにもいかない。 日本サッカー協会の関係者も、半ばあきらめたようにこう語る。 「サッカーの場合は非常に難しい。映画の舞台挨拶などで、来るはずの主演俳優が来ないといった問題とは別の話ですから……」 加えて、ザックジャパンが置かれた現状も関係してくる。 最新のFIFAランクは37位。アジアカップを制し、W杯ブラジル大会出場を世界最速で決めたと言っても、世界の舞台においては、MF本田圭佑(CSKAモスクワ)の言葉を借りれば「格下」となる。 FIFAランク24位のガーナ代表にとっては、代表当落線上の選手の見極めか、新戦力の発掘がメインとなる。10月と11月にW杯アフリカ最終予選を控えるアッピア監督も、日本戦の目的をこう語っている。 「選手たちには高いレベルでプレーできることを証明して、最終予選やW杯で起用できるというところを見せてほしい」