書家・石川九楊さん、源氏物語の心情表現 県ふるさと文学館で企画展
福井県越前市出身の書家で評論家、石川九楊さんの作品を展示した企画展「石川九楊源氏物語書巻五十五帖-めくるめく書のシンフォニア」が12月7日、福井市の県ふるさと文学館で始まった。さまざまな筆遣いで源氏物語の情景や登場人物の心情を表現した書を展示している。来年3月9日まで。 「夕顔」の帖は悪霊にとりつかれ急死した様子をおどろおどろしい筆運びで表現。「葵」では、正妻と恋人との痴話げんかを、斜めに走る筆画で再現した。本文のない「雲隠」は黒一色の世界が広がっている。同館の学芸員、尾崎秀甫さんは「漢字や平仮名が読み取れるものもあり、石川さんが文字をどのように表現しているかじっくり鑑賞してほしい」と話していた。 企画展では石川さんが揮毫(きごう)した2025年放送予定のNHK大河ドラマ「べらぼう 蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)」の題字原案も展示している。 期間中、12月24日に石川さんの講演「ひらがなの世界」が開かれるほか、1月18日には文学講座を行う。いずれも午後2時から。同館のホームページなどから申し込みが必要。