2021年1月の国内景気、緊急事態宣言の再発出などにより2カ月連続で悪化
帝国データバンクが実施した調査によると、2021年1月の景気DIは前月比1.1ポイント減の33.9となり、2カ月連続で悪化した。 1月の国内景気は、11都府県で2回目となる緊急事態宣言が発出され、外出自粛や飲食店を中心とした営業時間の短縮要請などが実施されたことで、再び下押し圧力が強まった。また、政府による各種支援策の一時停止や、企業の出張が抑制されたことなどで宿泊業界が一段の悪化となった。日本海側を中心とした寒波と記録的な大雪などによる個人消費の落ち込みのほか、自動車メーカーの減産の影響もみられた。 他方、半導体製造装置が高水準で推移したほか、パソコンや暖房器具などを含む自宅内消費関連は上向き傾向が続いた。
10業界中9業界が悪化、緊急事態宣言下で個人消費関連がさらに下押し
『サービス』の景気DIは2カ月連続の悪化となった。各種観光施策の一時停止や緊急事態宣言の発出を受け、個人向けサービスの業種を中心に景況感が下押しされた。特に、「旅館・ホテル」は5カ月ぶりに景気DIが一桁台に落ち込み、営業時間の短縮を要請されている「飲食店」も厳しい状況が続いている。また、イベント中止の影響や広告案件の停止がみられる「広告関連」も5カ月ぶりに悪化するなど、『サービス』は15業種中11業種が悪化した。 なお、寒波の影響や液化天然ガスの不足により電力需給がひっ迫するなか、「電気・ガス・水道・熱供給」の仕入れ単価DIは、1年1カ月ぶりに50を超えた。 『製造』は8カ月ぶりの悪化となった。世界的な半導体不足により、自動車メーカーで減産の動きがみられるなか、「輸送用機械・器具製造」、「化学品製造」、「鉄鋼・非鉄・鉱業」などの持ち直しの動きが一服した。また、「繊維・繊維製品・服飾品製造」も2カ月連続の悪化となり、川下の卸売・小売とともにアパレル関連の業種は厳しい水準が続いた。
全10地域が悪化、緊急事態宣言の再発出や大雪などが下押し
『南関東』『北陸』『近畿』など9カ月ぶりに全10地域がそろって悪化した。11都府県への緊急事態宣言の再発出で個人消費関連が大きく落ち込んだほか、日本海側を中心とした寒波や記録的な大雪などが下押し要因となった。 なかでも『北陸』の景気DIは、新型コロナウイルスの感染再拡大にともなう各種施策の停止に加え、記録的な大雪による来客数の減少や流通網の停滞などが下押し要因となり、9カ月ぶりに悪化に転じた。 国内景気は、緊急事態宣言の再発出などで個人消費関連を中心に2カ月連続で悪化した。