トヨタ中国合弁、開発の「完全現地化」で劣勢挽回へ 広汽トヨタ、中国のハイテク企業とも協業強化
日本のトヨタ自動車と中国の国有自動車大手、広州汽車集団(広汽集団)の合弁会社である広汽トヨタが、中国市場での劣勢挽回に本腰を入れている。 【写真】広汽トヨタの工場の生産ライン。現在は稼働率が低下している。 「中国市場向けのクルマの現地開発や中国のサプライチェーンの深掘りを進めることで、捲土重来を図る」。広汽トヨタの執行副総経理(副社長に相当)を務める文大力氏は、11月13日に開催された同社の設立20周年の記念式典でそう述べた。 文氏によれば、広汽トヨタは新型車の企画段階から開発、テスト、評価までの全プロセスを中国の開発チームで完結できる新たな体制作りを急いでいる。
■開発期間を2年以下に短縮 それだけではない。開発体制の完全現地化と同時に、(クルマのスマート化の分野で)中国のハイテク企業とのパートナーシップも強化する。協業相手は通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)、ネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)、自動運転技術のMomenta(モメンタ)および小馬智行(ポニー・エーアイ)、車載電池大手の寧徳時代新能源科技(CATL)、3次元センサー大手の速騰聚創科技(ロボセンス)などだ。
広汽トヨタは新体制のもとで開発した第1号モデル「鉑智3X」を2024年4月の北京モーターショーで初披露しており、2025年3月に発売する。さらに、第2号モデルを2026年初めにも投入する計画だ。 (訳注:鉑智3XはSUVタイプのEV[電気自動車]で、Momentaと共同開発した先進運転支援システムやファーウェイと共同開発した車載インフォテインメント[情報娯楽]システムを搭載する) 「中国の自動車市場は変化が早い。広汽トヨタでは新型車の開発に3年近くかかっていたが、これを2年以下に短縮する。将来は1年に2車種のペースで新型車を投入し、市場ニーズに応えたい」。文氏はそう意気込む。
広汽トヨタの年間販売台数は2年前の2022年に100万台を突破し、過去最高を記録した。だが、翌2023年から販売は減少に転じ、2024年に入って落ち込みが加速している。同社の2024年1月から10月までの販売台数は累計58万8000台と、前年同期比23.3%減少した。 苦戦の最大の要因は、中国自動車市場の急速なEVシフトへの対応が遅れたことだ。 「中国のEVブームは、ちょうど新型コロナウイルスが流行した期間に始まった。ところが、広汽トヨタは自動車産業の将来トレンドを見誤り、商機を逃してしまった」。文氏はそう率直に反省する。