【雇用保険×年金】両方受給できる場合、できない場合 各条件と注意点を解説
人生100年時代が到来し、長生きを前提にライフプランを立てることが重要です。 しかし社会保険制度などの給付金について、よく知らなかったり勘違いをしていて、損をしてしまうケースが多く見受けられます。 今回は「年金と雇用保険を両方受給できる場合」と「できない場合」にフォーカスし、解説します。
失業手当 × 老齢厚生年金
現行の法律では、年金の受給は基本的に65歳からです。 そこで離職により失業手当を受給すると、 60~64歳の間で老齢厚生年金を受給できる方の場合、老齢厚生年金の支給が停止されます。 しかし、失業手当はあくまで職業に就くための意思及び能力を備えていることが前提です。 働くことが困難となった場合には、延長の手続きだけでなく「傷病手当」という制度を利用できます。 健康保険法でおなじみの「傷病手当金」とは別の制度であり、雇用保険法の中で整備されている制度です。 ■退職日による注意点 また失業手当を受給できる場合であっても、65歳の誕生日の前々日に退職する場合は待期期間も含めると実際に失業手当を受給するのは65歳以降となり、その場合は老齢厚生年金は調整の対象となりません。 しかし、65歳が定年退職であるにも関わらずその前日以前に退職すると、定年退職ではなく自己都合退職となる場合がありますので注意が必要です。 定年退職の場合の雇用保険制度では、 ・ 病気や疾病などの理由がなくとも失業手当の受給を最長で1年間延長できること ・ 失業手当の給付制限期間(自己都合退職の場合、2か月~3か月は手当を受給できない)が課せられない というメリットがあります。 自己都合退職の場合、前述のメリットを享受できないということです。
傷病手当 × 老齢厚生年金
傷病手当は失業手当とは異なり、老齢厚生年金の支給停止の対象とはなりません。 傷病手当と老齢厚生年金の併給について詳しく解説します。 傷病手当は、求職の申し込みをした後に「継続して15日以上」疾病または負傷のために職業に就くことができない場合に、本来失業手当を受けることができる期間内に失業手当を受給できない日について「失業手当に代わって」支給されるものです。 また傷病手当の支給額や支給日数については失業手当に相当する額であり、減額率や増額率を乗じることはありません。 そして、傷病手当を支給した場合には失業手当を支給したものとみなされます。 ■傷病手当が支給されない場合 逆に傷病手当が支給されない場合も確認しておきましょう。 ・ 失業手当を受給中の場合(延長して失業手当を受給する場合も含む) ・ 疾病または負傷のために職業に就くことができない期間が継続して15日未満 ・ 待期期間中の日(求職の申し込みをした日以後通算7日) ・ 給付制限期間中の日(自己都合退職の場合は2か月~3か月) ・ 傷病手当金の支給を受けることができる日 ・ 出産予定日以前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)前の日から出産日後8週間後の日までの期間 老齢厚生年金との調整については、実態としては職業に就ける状態ではないことから、失業手当を受給中の場合は老齢厚生年金を支給停止とします。 しかし、失業手当に代わって支給される傷病手当の場合は、老齢厚生年金は支給停止しないということです。