途上国の技術者が災害対策学ぶ 和歌山県田辺市
途上国の防災インフラに関わる技術者9人が29日、和歌山県田辺市を訪れ、市の職員から講義を受けたり、津波避難タワーや津波避難路を訪れたりして災害対策のための技術を学んだ。 【地震慌てず避難 世界津波の日で訓練、和歌山の記事はこちら】 国際協力機構関西センター(JICA関西)の昨年に続く企画で、日本と同様に地震が多発するチリやインドネシア、インドなど9カ国の技術者が、防災インフラ先進地の日本での事例を学ぶために訪れた。 田辺市芳養松原1丁目にある芳養地区津波避難タワーでは、市の職員から説明を受け、タワーに登って備蓄倉庫などを確認した。タワーは屋上で高さが13・16メートルあり、240人が避難できる。施設も備え、一定期間過ごすこともできる。施設にある備蓄倉庫には組み立て式トイレやラジオ付きライト、ブランケット、ビスケットなどを備えており、技術者たちは興味深そうに確認していた。 同市芳養町では、田辺西パイパスの建設時にのり面に整備された津波避難路を視察。海抜27メートルの高さまで避難することができ、紀南河川国道事務所の職員から工事の概要を聞いた。 講義は同市東山1丁目の田辺市役所であった。和歌山県では、近い将来に発生が予想される南海トラフ巨大地震に備えるため、行政と市民が連携して防災に取り組んでおり、同市の職員は市の防災対策や危機管理について説明した。 中米のベリーズから来たミシェラン・ラエルさんは「ベリーズも災害が多く、津波の心配はある。現場を見て、災害についてしっかり分析し、施設を整え、準備をしていることに感激した。私たちは災害への対応を考えている段階で、今回の視察で得たことを参考にしたい」と話した。
紀伊民報