【データで選出10・11月月間MVP】リーグ優勝を決めた両球団の主砲が最高評価。投手は楽天・岸が見事な復活劇
11月18日に大樹生命月間MVP賞が発表される。それに先立ちデータに主眼を置いた別角度からの評価で、10・11月に最も大きな貢献を果たしていた選手をチェックしたい。 【写真】平成最高のMVP選手は?
月間最多勝利のソフトバンク野手が上位にずらり
評価には(1)セイバーメトリクスの一手法を用いて選手のはたらきを得点換算し、(2)同じ出場機会を「平均的な成績の選手」が担った場合のはたらき(得点)を基準(=0)に置き、どれだけ上積みをつくったかという推定値を算出して行った。「平均的な成績に対して大きな差をつくり」、また「その状態で多くの出場機会を重ねていく」ことで増えていく数値なので、質と量、両面での貢献を見ることとなる。図中の[]で囲んだ項目でグラフが右に伸びているものはリーグ平均以上、左に伸びているものは平均以下だった数値だ。 まずは野手から見ていく。セ・リーグは丸佳浩(巨人)、パ・リーグは柳田悠岐(ソフトバンク)がそれぞれ16.2点、14.6点と最高の貢献を果たした。丸は10月6日からのDeNA3連戦で3試合連続本塁打を放つなど、10・11月で12球団最多の10本塁打を記録。通算200本塁打の大台に到達し、チームの優勝に花を添えた。丸の打撃は、平均的な打者と比較して11.5点多くチームの得点を増やしたと評価できる。 パ・リーグでは、柳田に加え、周東佑京、牧原大成、栗原陵矢と4人のソフトバンク勢がランクインした。柳田の打撃貢献は図抜けているが、それ以外の3選手もそれぞれ打撃面でリーグ平均を上回るはたらきを見せている。13試合連続盗塁成功の日本記録を樹立した周東は、走塁でも素晴らしいはたらきを見せたが、10・11月については打撃貢献のほうが大きかったようだ。 ソフトバンクは10月、27試合で22勝をあげ、月別勝利記録のNPB新記録を樹立。その快進撃を支えた要因の一つは、こうした野手陣の好調であることは間違いないだろう。
打撃不振を十二分に補った源田の守備力
守備評価には同じイニングを守った平均的な同ポジション選手と比較してどれだけ失点を防いだかを表すUZR(Ultimate Zone Rating)を使用する。しかしUZRは同ポジションの選手との守備を比較する指標であるため、今回のように異なるポジションの選手を比較する際は、ポジション間の補正を行う必要がある。一般的に高い守備力、もしくは独自性のあるスキルを要するポジション(遊撃手や二塁手、捕手など)を守った選手はプラスに補正をかけ、その逆のポジション(一塁手や左翼手など)はマイナスの補正をかけるといった具合だ。この守備位置補正をUZRに加えたものが守備貢献となる。 守備では、源田壮亮(西武)が9月に続き、2ヶ月連続で最高の貢献を残した。源田の守備は平均的な野手に比べ、月間で10.9点多く失点を防いだと評価されている。10・11月の源田は打撃面で不調に苦しみ、打撃では平均的な野手に比べ3.0点チームの得点を減らしてしまった。しかし、守備ではほかの選手に大きく差をつける貢献を記録。2位以下に大差をつけた。 また、セ・リーグでは、坂本勇人(巨人)が最高の貢献を記録した。10・11月は歴代2位の若さで2000本安打を達成した打撃面が注目された。しかし、坂本の素晴らしさは打撃だけでない。守備面でも高い貢献を残せることが、坂本の選手としての価値をさらに高めている。