インボイス導入で「3割の人が辞めたがってる」部署も!会社員にも悪影響“ポンコツ制度”の正体
ついに10月1日から導入される「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」。 声優をはじめとした、フリーランスで働く人々の反対の声が報じられるケースが多いため、会社に勤務している人からの関心は低い。しかし、導入が間近に迫った今、会社員であってもインボイス制度による弊害が少ないことが露見し始めている。
「インボイス導入するなら経理を辞めたい」
「インボイス制度を考えるフリーランスの会」は9月22日、インボイス制度が導入されたことによって業務量が増えることが目されている、企業の経理業務担当者を対象に実施した調査結果を発表した。インボイス制度が施行されて業務量が増えた場合、「異動」(9.3%)もしくは「退職/転職」(24.0%)を考えると回答した割合は約3割だ。 年代別で見ると、20代は「異動」(13.9%)もしくは「退職/転職」(24.1%)。30代は「異動」(11.9%)もしくは「退職/転職」(28.6%)と、若い世代のほうが拒否反応が強い傾向が伺えた。この結果からインボイス制度は、現場の経理業務担当者にとって想像以上に面倒な制度であり、経営層からすれば人手不足を招くリスクを含んだ制度であることがわかる。 そもそも、同調査では「将来的にも導入するべきではない」(83.1%)と8割以上が回答しており、インボイス制度を望んでいる人は圧倒的に少ない。未だにインボイス制度のメリットが語られることがないのはなぜか。実際は厄介なだけで恩恵を受けられる人がいるのかどうかも怪しい制度なのではないか。
経理以外にも「インボイス残業」が発生する恐れ
インボイス制度が施行された後、「売り手側はインボイス(適格請求書)の発行」「買い手側はインボイスの保存」など様々な業務が発生するが、どの程度業務量が増えるのだろうか。 株式会社LayerXが9月19日に発表した調査結果では、インボイスの導入で新たに増える支払処理時間は、1件あたり15分、経費精算の処理は1件あたり5分と算出された。 加えて、経理担当者1人あたりの負担は月換算した場合、1~2営業日かかることが判明。つまりは1~2営業日ほどの時間を残業しなければいけなくなる。経理担当者がインボイス制度で発生した業務に追われた場合、他の従業員にも何かしらのしわ寄せがいくだろう。“インボイス残業”は経理担当者だけではなく、まわりまわって会社全体の残業時間を増やしかねない。