高校年代のラグビー競技人口が20年で半減。「主チーム」と「副チーム」で活動できる新たな制度は起爆剤となれるのか?
コルツの挑戦「理想は全国に我々のようなクラブが増えること」
日本協会の岩渕健輔専務は言う。 「全国のあらゆる世代の競技者がチームに所属しプレーを継続できるよう、環境の整備を続けたいです」 そういった課題解決への第一歩を評価しつつも、さらに着手すべきことがあると語るのは徳増浩司氏。元日本協会理事で、2019年のワールドカップ日本大会招致に携わった国際派だ。 いまは、渋谷インターナショナルラグビークラブ(SIRC)という組織のチェアマンを務める。インターナショナルスクールに通う子どもたちと日本の子どもたちが、一緒にラグビーを楽しむことを目的として作られた組織だ。英語でラグビーを指導するのも特徴的なこのSIRCは、今度の規約改正に先んじて高校生年代のクラブチームを運営している。SIRCの中学部を卒業した会員の受け皿として、2019年に渋谷バーバリアンズを結成した。 選手は外部からも集まる。県外から通うあるメンバーは海外留学の経験者。活動は原則、週に1回のため、季節や曜日によって違う種目に親しみたい学生も加入しやすい。 他方、競技力があり、都内屈指の古豪ラグビー部のある学校に通いながら、その環境に馴染めないという青年もこのクラブの門を叩いている。 渋谷バーバリアンズは昨年からはコルツと名称を変えた。するとその年に、日本協会が一芸に秀でた高校生を集めるTIDキャンプ、通称ビッグマン&ファストマンキャンプに当時高校1年の竹本良佑を輩出した。各選手の高校名が並ぶメンバー表の「所属」の欄に「渋谷インターナショナルラグビークラブColts(コルツ)」という名前が刻まれたのだ。 地道なアクションは口コミで広がった。コルツはこの春、40名超の入会希望者から連絡を受けて募集を止めた。夏には全国7人制大会の東京都予選に初出場した。 徳増氏は、クラブの可能性を感じる。 「私の理想はコルツの人数を増やすことではなく、全国に我々のようなクラブが増えることです」 現状コルツは、高体連主催の全国大会予選に参加できない。コルツが全国7人制大会の予選に出られたのは、その大会が日本協会の管轄下にあったからだ。さらにクラブの総数が限られているため、クラブだけを対象にした大規模な大会はない。 何より高体連の部活は、熱量の大小こそあれ競技実績を作ることを目指す。自ずと1週間あたりの練習日数は増えるため、前掲したコルツの留学経験者のような志向の持ち主は入りづらいのが実情だ。