消すと描くを繰り返し、独自の筆跡表現 現代美術作家が企画展「シンプルな行為から何か感じて」
滋賀県大津市和邇在住の現代美術作家田中真吾さん(41)の個展が、同市音羽台の2kw(キロワット)galleryで開かれている。「二元論の打ち消し」をテーマとした個性的な絵画作品12点が目を引く。 作品は黒の油絵の具やインクで線を引き、拭き取る行為を繰り返す手法で描かれた。「消す」と「描く」の二つに分かれた動作が一体となり、布でぬぐい取った部分がかすれて白い筆跡のように浮かび上がってくることを目指したという。 田中さんは大阪府出身。京都精華大で洋画を学び、同大学で非常勤講師を勤めた。2017年からは成安造形大で働きながら、作品制作に取り組み、京滋を中心に個展を開いている。 今までの作品展では「火」を題材とし、物質を燃やすなどして作品を創ってきた。今回は手法を変え、火が持つ創造と破壊の両義性の表現に挑戦したという。田中さんは「ストロークを重ね、拭き取るというシンプルな行為の繰り返しから何かを感じてもらえたら」と語る。 会場では12月14日午後5時、国立国際美術館(大阪市)の福元崇志主任研究員を招いたトークイベントもある。 個展は22日まで。午後1~7時。月~水曜日休廊。無料。