妻夫木聡「40歳は“大人のゼロ歳”みたいなものなのかな?とにかく楽しみです」
妻夫木聡インタビュー「ゼロになれ」後編
インタビュー前半では“ものづくり”の魅力について語ってくれた妻夫木さん。日本アカデミー賞で最優秀音楽賞を受賞した「ウォーターボーイズ」の現場で、「今自分がいるのは、幸せな場所なんだなぁ」と実感したという。 インタビュー前編はこちらから 30代最後となるドラマは東野圭吾原作のラブ・サスペンス「危険なビーナス」。40歳は大人のゼロ歳だと彼は言うが、物事を観察する目と、ハプニングをサプライズだと受け止める明るさは、ますます磨かれるばかりだ。
20代のときは、“自分がなぜこの役をやるのか”みたいな葛藤は本当になかった
「振り返ってみると、20代のときに演じた役は、大学生とか社会人1年目、研修医とか、いろんな場面での“新人”が多かったと思います。何かに対してがむしゃらになっている姿というのは共感を得やすいんでしょうね。 でも、似た感じの役が続いたときも“殻を破んなきゃ”とか”役の幅を広げなきゃ”とか焦ったことはないです」 日本アカデミー賞繋がりで言うと、彼は2010年に公開された映画『悪人』で、最優秀主演男優賞を受賞している。殺人を犯し逃亡する、まさに“悪人”の役。 この作品で一気に役の幅が広がった印象があるが、「そこは全く意識していなかったです。ただ、原作を読んだとき、初めて自分自身でこの役をやりたいと思った。そういう役に出会えたことが大きかったです」と静かなトーンで話した。 それまで、どういうふうに自分が見られているかなど考えたことはなかった。 「20代のときは、“自分がなぜこの役をやるのか”みたいな葛藤は本当になかったです。マネージャーが吟味して僕のところに持ってくる仕事については、断ったりはしなかったし、どう見えるかを考えるのは、マネジメントの仕事だと思っていました。 僕としては、毎回、『これが遺作になってもいい』というぐらいの覚悟で取り組むだけ。ただ、今になってみると、割とスター街道を歩ませたいというマネージャーの親心があったのかもしれないですね(笑)。 あとは、いつか演劇にも挑戦したいなとは話していて、25~26歳で舞台に立つことは、計画通りに進めていたかもしれません」