成長につながらない成長戦略、リクルートHD峰岸会長が問題点を指摘
まもなく岸田政権の『成長戦略』が発表される。コロナ禍やエネルギー高騰などで経済が影響を受ける中、場当たり的でない戦略が期待される。ところが戦略の中身以前に、成長戦略の策定のあり方から問題だとする意見書が出された。 意見書をとりまとめたリクルートHDの峰岸真澄会長(経済同友会副代表幹事)が、日本テレビのインタビューに答えた。 ◇◇◇ 先月、経済同友会が発表した成長戦略に関する提言に、こう書かれていた。 「従来の成長戦略は『会議体が分散』『アジェンダが総花的』『自治体や民間企業等の現場への実装力不足』『客観性や一貫性が不十分』」 「経済成長につながらなかった要因を分析、反省し、成長戦略のあり方を抜本的に見直す必要がある」 この『実効性ある成長戦略の策定と着実な実行に向けた問題提起』(中間提言)を作成した成長戦略・評価実行委員会のトップは、リクルートホールディングス会長の峰岸真澄氏だ。 峰岸氏は2012年4月にリクルートグループのCEOに就任。当時は海外売上高がグループ全体の3.64%に過ぎなかったが、アメリカのIndeed社を始めとする複数の海外派遣会社の買収でリクルートをグローバル企業に押し上げた。 日本の成長戦略はどこが間違っているのか? 峰岸氏にインタビューを行った。
■GDPが伸びない~日本型給与体系を変える
峰岸氏 「大手企業、上場企業にとって『pay for performance』型(業績に応じた給与)の人事システムに移行していくのは、完全に『マスト』だと思う。年功的な給与制度で、終身雇用的な制度で、新卒一括採用のようなことを今でもしているのは、ほぼ日本しかないと思われる。GDPでも世界2位というようなサイズで成功してきた(日本型)システムでもあるので、変えていくのも難しいかもしれないが、もう他の国にキャッチアップしていくだけの話だと思う」 峰岸氏は、日本も海外のようにシビアに業績に応じて給与が支払われるシステムに変わっていくべきとの考えを示した。 峰岸氏 「リクルートグループの場合、pay for performance型に変え、それが、普通の企業風土になっていくのに5年10年かかった。時間はかかると思う」 ――『pay for performance型』に変えれば成果が上がり、企業利益が拡大されるのか? 峰岸氏 「日本だけ一人あたりGDPがどんどん下がっている。そういう意味で、生産性という意味で決して(他国に)勝っているわけでない。いろいろなところを修正してアップデートしていかなければならない。人事システムもその一つ」