岸田首相が会見 臨時国会が閉幕(全文2)世界最大の核兵器国の米国動かす努力が重要
核兵器禁止条約のオブザーバー参加、米国から不参加要請があったのか
中国新聞社:中国新聞社の下久保です。よろしくお願いします。総理は先ほどごあいさつの中でも核兵器のことを触れられました。また、国会でも核兵器なき世界を訴えられたと思います。これは被爆地、広島選出の政治家の姿勢だと思いますが、その点でお伺いしたいのが、広島原爆の黒い雨の被害者救済について、どのようなお考えをお持ちか。 また、併せて被害者が望んでいる核兵器禁止条約の締約国会議、オブザーバー参加についてですが、先日、アメリカ政府のほうから日本政府のほうにオブザーバー参加しないようにという要請があり、日本政府もこれに同調したと報じられています。この事実関係についてお伺いしたいのと、総理は「聞く力」を掲げられて、いろいろな車座対応をされていますが、こうした核兵器を持たない国のオブザーバー参加によっていろいろな声を聞くのも「聞く力」の1つだと思いますが、核兵器禁止条約のオブザーバー参加についてもお聞かせください。 岸田:まず、この黒い雨訴訟に関する判決に関することですが、今後の被爆者健康手帳の認定の方針について、これまで広島県、広島市、長崎県、長崎市、そして厚生労働省、こうした関係者での協議、2回行われたと承知をしています。そして、12月8日の協議において厚生労働省から基本的な考え方をお示しし、参加した広島市等からさまざまな意見をいただいたと聞いております。そして、次回の協議において国としての方針を示すことになっていると承知しています。 この件につきましては、被爆者が高齢化していることを踏まえて、早急に次回協議を実施し、遅くとも令和4年度当初には、可能な限り多くの方の救済を開始できるよう、スピード感を持って取り組んでいかなければならないと認識しております。
核兵器国は1国も参加していない
それから、2問目の核禁条約オブザーバー参加の話でありますが、私の考え方は、先日の予算委員会の審議の中でも申し上げたとおりであります。核禁条約、これは核兵器のない世界を目指す上で、出口に当たる大切な条約だと思いますが、残念ながらこの核兵器国は1国も参加していない、こういった状況にあります。外務大臣、4年8カ月経験する中で、核兵器のない世界に向けて現実を動かしていくためには、現実に核を持っている国、これが変わらなければ何も現実は変わらないという思いを強く持っておりました。よって、わが国としては、唯一の同盟国である米国、世界最大の核兵器国である米国、これを動かしていく、こうした努力をしていくことが唯一の戦争被爆国の責任として重要であると認識しています。そして、まずは米国との信頼関係をしっかり核兵器のない世界に向けて築いた上で、さまざまな活動を考えていくべきであるということを申し上げています。それができる前にオブザーバー参加ということについては、わが国としてこれは慎重でなければならないというのが私の考え方であります。 そして先日、米国からオブザーバー参加しないようにという要請を受けたというご指摘がありましたが、日米の間でどういったやりとりをしているのか、これについては、結論についてはしっかりと外交上、国民の皆さんに説明するというのが常識ですが、それまでのやりとりとか経緯について何か申し上げるのは控えなければならない。これが相手国との関係、外交の常識であると認識をしています。よって、具体的なやりとりについては申し上げませんが、米国との間において緊密に意思疎通を図って信頼関係をつくっていく。これはトップの間だけではなくして、あらゆるレベルでこうした意思疎通を図っていく、こうしたことは大事なのではないかと考えます。以上です。 司会:それではその次、山本さん。