引退発表で鳥栖のFトーレスが明かしたサプライズなセカンドキャリア計画
瞳にはうっすらと涙がにじんでいた。自身の公式ツイッター(@Torres)や所属するサガン鳥栖を通じて、21日に現役引退を表明していた元スペイン代表のFWフェルナンド・トーレス(35)が23日、東京・千代田区の帝国ホテルで引退会見に臨んだ。 「常に高いレベルを求めてプレーしてきたなかで、思い描くベストのパフォーマンスに到達するのは難しいのではないか、という疑問を抱いていた。自分の体は自分が一番知っている。体に問いかけてきたなかで、そこへ到達できないのであれば、いま現在の姿でサッカー人生を終えたいと考えた」 昨年7月に入団会見を行った同じ場所で、トーレスは年末まで残るサガンとの契約を、1年間の延長オプションを含めて解除する理由を説明した。さらにホームの駅前不動産スタジアムにヴィッセル神戸を迎える、8月23日の明治安田生命J1リーグ第24節をラストマッチにすると明かした。 ヴィッセルには育成年代からの旧友でもあるMFアンドレス・イニエスタ(35)、同じ点取り屋として共演してきたFWダビド・ビジャ(37)が在籍する。スペイン代表で数々のタイトルを共有してきた盟友たちとの直接対決をもって、18年間の現役生活にピリオドを打つ。 「引退を表明した後のすべての方々の反応を見ていると、18年間におよぶ自分のサッカー人生を誇らしく思う。いまの自分にできることをすべて出し尽くして、サッカー人生を終えたい」 サガンで2年目を迎えた今シーズンのトーレスは、右太ももを負傷した影響もあって無得点が続いている。リーグ戦では5月4日の大分トリニータを最後に先発から遠ざかり、出場11試合、プレー時間はわずか543分間にとどまっている状況で自ら大きな決断を下した。 サガンを経営する株式会社サガン・ドリームスの竹原稔代表取締役社長(58)のもとには、トーレスの古巣アトレティコ・マドリードの関係者から、21日の引退発表後に「アトレティコで引退させたかったが……」という内容のメールが届いている。 下部組織時代を含めて実に15年半も所属。トーレス本人も特別な存在として位置づける、前所属クラブが思わずうらやましがるほど、日本で現役を終える決断は大きな注目を集めている。しかも、サッカー人生は佐賀県鳥栖市を舞台として引退後も続いていく。 「選手としては引退するが、クラブを離れるつもりはない。アドバイザーとして残り、サガンの、そして日本のサッカーを世界に広げていくことに貢献したい」