30年W杯の6カ国広域開催と34年W杯サウジ開催が正式決定 FIFA総会で承認
国際サッカー連盟(FIFA)は11日、オンライン総会で2030、34年のW杯開催地を決定した。30年はスペインとポルトガルの欧州勢にアフリカのモロッコを加えた3カ国を主会場とし、W杯開催100周年を記念して1930年の第1回大会開催国だったウルグアイ、さらにアルゼンチンとパラグアイの南米でも各1試合を行う3大陸6カ国による史上初の広域開催。34年はサウジアラビアでの開催が決まった。 30年大会は昨年10月の段階で招致を目指していた3大陸の候補国を調整して内定。北中米開催となる26年大会を含めた大陸ローテーションのため、34年大会はアジアかオセアニアでの開催に限られる状況になった。これを受けてサウジアラビアが早々に招致に乗り出して上部組織のアジア・サッカー連盟(AFC)による支持を固め、インドネシアなどとの共催を模索したオーストラリアが招致意思表明期限だった昨年10月31日に立候補を断念。30年の広域開催と34年のサウジ開催がともに唯一の招致案としてこの日の総会で承認された。 今回の正式決定で両大会に向けた準備が本格的に始まることになるが、問題は山積みだ。特にサウジ開催に関しては国際人権団体などから女性や労働者の人権状況改善を求めて反対や疑問の声が絶えなかった。計画書では首都リヤドなど5都市の15会場で行われることになっているが、過半数の8会場は計画段階。インフラ整備や宿泊施設の建設ラッシュなど22年カタール大会でも問題になった労働者の扱いに国際社会から厳しい視線が向けられている。 また、開催時期は酷暑の7~8月を避けるためカタール大会同様に冬季開催になる可能性が高いが、34年は11~12月にリヤドでアジア大会が予定され、イスラム教のラマダン(断食月)とも重なるという。35年1月に持ち越した場合は同2月にソルトレークシティー(米国)で冬季五輪を控え、国際オリンピック委員会(IOC)との調整が必要になる可能性もある。大会までに紆余曲折が予想される。