コロナで転職加速!? 会社の将来が不安な時代の転職事情
新年を迎えても、感染拡大に歯止めがかからない新型コロナウイルス。ついに7日、1都3県には緊急事態宣言が再発出されました。今回はウィズコロナ時代の転職事情を昨年(2020年)に発表された各種データから考察してみます。
コロナによる失業や休業の実態は?
まず、“コロナ失業"の概況から。昨年12月発表された厚生労働省の調査では、1月末から12月21日までに解雇や「雇い止め」で仕事を失った人は見込みも含めて7万8153人と、8万人近くに上ることがわかりました。 新型コロナウイルスの影響で仕事を失った人は、5月21日に1万人を超えた後、8月31日に5万人、11月6日に7万人を超えました。この数字は、ハローワークなどで把握した人数だけのため、仕事を失った人は実際には、さらに多いと考えられます。 失業者数とあわせて注目すべきデータとして休業者数があげられます。総務省の雇用統計では、一昨年の冬は190万人前後を推移していましたが、新型コロナの影響で昨年3月に200万人を超え、4月には過去最多の597万人に急増。 総務省の分析では、急増した休業者のうち、失業したのは2~4%程度としています。5月以降は、経済活動の再開に伴い休業者は減少し、9月の雇用統計では197万人と、ほぼコロナ前の水準に戻りました。 さらに非正規労働者なども勘案すれば、きわめて厳しい雇用情勢が続いた2020年。そのなかでの、転職意識の変化をみていきましょう。
転職希望「新型コロナがキッカケ」は12%
大手・人材紹介会社のエンワールド・ジャパンが、同社のサービス登録者への「新型コロナ禍における転職のきっかけ調査」を昨年11月に発表しました。 調査対象は、外資系企業や日系グローバル企業の正社員かつ、年収800万円以上の1004人。ちなみに国税庁「民間給与実態統計調査」(2018年)によると、年収800万円以上の人は487万人で全体の9.8% 。いわゆるハイクラス層といえると思います。 調査結果から抜粋すると、「1カ月~1年以内に転職したい」または「良い条件の仕事があればいつでも転職を検討したい」と回答した人のうち、新型コロナの流行をきっかけに転職を検討し始めたのは全体の12%。 また、新型コロナをきっかけに転職を検討した人の転職希望時期は「1~3カ月以内」が45%となり、新型コロナ流行前から転職を検討していた人(21%)を大きく上回るという傾向を示しました。 他に特徴としてあげられるのは、新型コロナをきっかけとした転職検討者の動機で「会社の将来への不安」が46%と半数近くを占めたこと。 これに対し、新型コロナの流行前からの転職検討者の理由第1位は「キャリアアップ」が54%。また、「転職で不安に感じること」第1位は「現在の年齢」で、これは新型コロナの影響は関係なく最多で、特に40代以上では年齢を不安視している人が多数を占めていました。 さらに、回答で大きな差が表れたのが「転職で実現したいこと」。新型コロナ流行以降の転職検討者のうち、「業績の伸びている企業で働きたい」と回答したのは34%で、コロナ流行前から転職を検討している人より13ポイント高い数値を示しました。 ハイクラス人材層においても、所属企業への評価はシビアとなり、より将来性に確信を持てる成長企業を積極的に探していることが分かります。