ヤングなでしこ「スペイン完勝」が示す日本サッカーの未来(1)日本が前回優勝国の「宿命のライバル」に、初めての「勝利」の意味
サッカーのU-20女子ワールドカップで、日本代表が準決勝へとコマを進めた。しかも、前回大会優勝のスペインを破ってのことである。年代別でも、A代表でも、男女ともに圧倒的な実力を誇るスペインに、日本は堂々と勝利したのだ。ヤングなでしこの戦いぶりから、サッカージャーナリスト後藤健生が日本サッカーの「未来」を予見する。 ■【画像】「2人とも超キュート」離脱した美人なでしことバトンを受け取った美人なでしこ
■日本が「4大会連続5度目」の進出
コロンビアで開催されているFIFA U-20女子ワールドカップ準々決勝で、U-20女子日本代表(ヤングなでしこ)がスペインに勝利した。 終始、日本が攻め込む時間が続いたが、なかなかシュートが決まらずに延長戦に突入。だが、延長前半の102分に佐々木里緒が蹴ったFKを米田博美が薄く頭に当ててコースを変えて先制ゴールを決め、日本はこの得点を守り切って1対0でスペインに勝利して準決勝進出を決めた。 この大会での日本の準決勝進出は4大会連続5度目のことだ。 グループリーグの初戦でニュージーランドに7対0と圧勝した日本は、その後、ガーナ、オーストリアを下して3戦全勝で決勝トーナメントに進出。ラウンド16のナイジェリア戦は、非常に動きが重い試合となってしまったが、なんとか2対1で勝利して準々決勝に進出していた。 一方のスペインも、アメリカなどを破って3戦全勝でグループリーグを突破。ラウンド16ではカナダに競り勝っていた。 日本対スペインの試合は、立ち上がりこそスペインに押し込まれる時間もあったが、9分に日本が前線から連係してプレッシャーをかけてボールを奪う場面を作ると、10分にはMFの小山史乃観から前線の松窪真心にくさびのパスが通る場面があり(松窪はDFに倒される)、以後、次第に日本のリズムとなっていった。
■「ポゼッション」では上回るも…
日本がプレッシャーをかけると、スペインは簡単に後方に戻してしまう。そして、スペインは高い位置から日本に対してプレスをかけてくる場面もあまり作らなかった。後方でパスを回す時間が長かったので、ポゼッションではスペインが上回ったが、内容的には明らかに日本が優勢だった。 スペインのプレスがかからなかったため、日本の最終ラインやボランチの2人(小山と大山愛笑)が落ち着いてボールを持つことができたので、そこから日本の生命線であるサイドアタッカー(スペイン戦では右に松永未夢、左に氏原里穂菜)にボールが展開され、両サイドバック(右に柏村菜那、左に佐々木)もフォローしてサイドから崩し、外からのクロスでスペインゴールを脅かし続けた。 スペインは日本陣内深くにロングボールを送り込んだり、ドリブラーが仕掛けてきたが、この日のスペインはゴール前でのパスやシュートの精度が低く、日本を慌てさせるような場面はほとんど作れなかった。
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