女性の髪の悩み、コロナ禍で「アホ毛」が「枝毛」を逆転? “使い切り商品”も好調のヘアケア市場の変化
近年ヘアケアで注目が高まっているのが、うねりやゆがみ毛などの髪質改善商品。昨年発表した@cosmeベストコスメアワードでも、ベストシャンプー・コンディショナー部門の1位は、うねり髪を保水ケアする商品だった。また、コロナ禍によるリモート増加に伴い、髪の悩みも変化。オンラインで見て気になる「アホ毛」のケアが、これまで悩みの多くを占めていた「枝毛」を逆転する現象も。時代の流れと共に変わりゆくヘアケア市場について、@cosmeリサーチプランナー・西原羽衣さんと、原田彩子さんに聞いた。 【ビフォーアフター】パッサパサ髪の女性が仰天チェンジ! どうしてこうなるの? 脅威の染髪技術 ■現在の人気商品の礎となったノンシリコン&ボタニカルブーム ヘアケア商品の歴史をたどると、10年ほど前にブームを迎えたのが“ノンシリコンシャンプー”だ。@cosmeで同ワードが初めてクチコミに登場したのは、2007年。その後、2011年~2013年にかけて注目を集めた。 ノンシリコンシャンプーが支持された理由は、大きく2つ。1つは市販のシャンプーを使用すると刺激があるなどの理由から、自然由来であることや無添加を求める人たちから支持されたこと。もう1つは、「美容師からの推奨」だった。 「当時のクチコミには、『シリコンは髪に良くないと美容師に言われた』『美容師からノンシリコンシャンプーを薦められた』といった記述が見られます。こういった美容師による専門家からの推奨が後押しとなり、『NUDY AURA』や『PLAYBACK(プレイバック)』といったブランドが話題になりました。バラエティショップで1000円以上のシャンプーを購入するという、シャンプーの新しい買い方、そして高単価化の先駆けであったと思います」(西原さん) その後、ドラッグストアでも購入できる商品が続々と登場。マスブランドからもノンシリコンシャンプーが発売されたことで、使用者をさらに拡大していったと見られている。 ノンシリコンシャンプーに続くムーブメントが、“ボタニカルシャンプー”だ。2015年ごろからクチコミで書かれる頻度が増加し、2018年に最大化。 「ブームの背景には、断捨離が話題になるなど、ムダなものを持たないミニマムなライフスタイルを魅力的に感じる、新しい価値観の浸透があると考えています。生活者にとっては、ノンシリコンは『ムダなものが入っていないこと』の1つの象徴であり、また『BOTANIST(ボタニスト)』に代表される透明でシンプルなパッケージは、ムダなものが入っていないことの可視化であったのではないでしょうか」(西原さん) とはいえ、クチコミでは「ノンシリコン」や「ボタニカル」といった言葉の出現率はそれほど多いわけではなく、それ以上に香りや指通りや見た目といった仕上がり、泡立ちのよさなどについてが語られていた。しかし、当時のニッチなニーズが、ヘアケアへの意識を「単に髪の毛を洗うためのもの」から「自分の望むライフスタイルを実感させてくれるもの」へと変化させ、現在の人気商品の礎となっていったと推測される。