多額の手数料や違約金 ひょう被害の住宅修理で悪質勧誘業者も 損保など注意呼びかけ
家屋などが災害に遭った県内の家庭に火災保険の使用を勧める業者の中に、本来不要な多額の手数料や違約金を得ようとする悪質な事例があるとして、損害保険会社が注意を呼びかけている。6月2日のひょう害に関連して損保大手4社に寄せられた県内の個人宅関連の保険請求は1カ月で計1万件を超えている。今後もこうした状況に乗じる可能性があると指摘している。 【動画】群馬県草津町で降ひょう
ひょう害の請求件数は損害保険ジャパン、東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の4社を集計した。
損保ジャパン群馬保険金サービス課(前橋市)によると、代表的な被害例には訪問や電話、インターネット広告などで住人に接触し、「工事が必要だが保険が使える」「自己負担ゼロ」「手続きは代行する」と持ちかけた上で、①保険金の数十%もの手数料を取られて工事代金が不足②工事をやめると、息のかかった施工業者が違約金を要求③リフォームなど無関係な工事も混ぜて保険請求するよう唆され、詐欺的行為に加担-などがある。
同課は鑑定人や建築士が現地で災害と破損状況の不一致などを確かめており、不適正だと見破った保険請求は2020年4月以降で約2000件あったという。データを分析すると、見積もりによって業者の屋号は異なるが担当者名が同じという事例もあった。
自然災害の激甚化や頻発化で住宅修理に関するトラブルは今後も増える恐れがある。同課の米丸巧一課長代理は「手続きを進める前に代理店や警察などに相談してほしい」と話す。
被害防止に取り組む高崎中央法律事務所の小沢真吾弁護士は「違約金などを取り消そうと弁護士を頼るにも費用が生じてしまうのが、この手口の巧妙さ。救済が難しいからこそ予防が大切だ」と指摘している。