市川市、中核市への移行見送り 市長「機が熟さず」 多額の財政負担、議会も慎重
市川市の田中甲市長は19日の定例記者会見で、検討していた中核市への移行について「機が熟していない」として、現時点では見送る意向を示した。市議会に協議を呼びかけてきたが、多額の財政負担が見込まれることもあり「市議会が前向きでない」と受け止めた上での判断という。一方で将来に向けた持続可能な都市づくりを見据え、近隣自治体との広域行政の充実を図る考えを明らかにした。 田中市長は昨年6月の市議会定例会で、市制施行90周年の今年11月3日を「(中核市移行という)次のステージに入る最大のタイミング」と答弁。だが、当日の式典では中核市に具体的に触れる場面はなかった。 会見では「市議会に協議を呼びかけたが、前向きでないことが分かった。(地方交付税の)不交付団体の市川市が中核市になることで年間24億6千万円の財政負担が見込まれ、メリットが感じ取れないとの空気感があるのが感じ取れた」と説明。「現段階で中核市を目指すと発言するのは避けている」と述べた。 一方で「これからの人口減少の中で市川市がどのように持続可能な都市をつくっていくのか。この10年間を次の100年間の礎にしたい」とも話し、近隣の松戸市や浦安市、船橋市と協力しての広域行政を充実させる意義を強調した。 中核市は人口20万人以上が要件。保健所などの権限が県から市に委譲され独自の行政サービスが可能になる。一方で財政負担も増し、人口49万人超の市川市は2015年度から不交付団体となっており、移行すれば年間24億6千万円(3年前の試算)の市費の負担増が見込まれる。