小杉の蓮王寺はお坊さんの学校 室町期の記録確認
射水市三ケ(小杉)の蓮王寺が、室町時代に僧侶の学問所だったと推測される記録が確認された。奈良時代創建とされる同寺では、平安期の井戸跡や中世期の出土品などが発見されているが、文献は見つかっておらず、同寺関連の初めての文献とみられる。 調査したのは、帝塚山大(奈良市)の杉崎貴英教授(仏教美術史)。高野山正智院(和歌山県)の経典目録をまとめた書籍に、越中国に関する記述(「應永三年四月二日、越中國射水郡大袋庄高寺之御作堂御御談所書」)を見つけた。 室町時代の1396(応永3)年、越中国射水郡の荘園・大袋庄(おおいのしょう)の高寺にある僧侶の学問所「談所」で、弘法大師空海の著作の注釈書を書き写したという内容で、「御作堂」は高僧が作ったとされる古仏を安置する堂を意味する。 大袋庄は、射水市新湊地域から小杉地域南部にかけての範囲と考えられている。蓮王寺は「高寺」と呼ばれることから、杉崎教授は注釈書を書き写した場所は、同寺か前身の寺を意味すると考えた。
また蓮王寺には、奈良時代の高僧・行基が作ったという伝説が残る小杉大仏(射水市指定文化財)が安置されており、この点からも談所が蓮王寺を指している可能性が高いとした。高僧が作ったという伝説が残る仏像に関する史料が県内で見つかったのは初めてという。 同寺の上田雅裕住職は「戦国期や明治期の火災で文献は残っておらず、ありがたい発見」と話している。 今回の成果は、3月に発行された越中史壇会の会誌「富山史壇」に発表した。