ボクシングを観戦する袴田巌さん（撮影・宮地輝）

　1966年（昭41）年に静岡県の一家4人が殺害された事件で再審無罪が確定した元プロボクサーの袴田巌さん（88）が29日、約9年ぶりに東京・後楽園ホールに来場した。ボクシングジム会長らで構成される日本プロボクシング協会から招待され、同日開催のM・TジムとKG山ジムの合同興行「パイオニアオブファイトVol9＆大和魂18大会」に足を運んで試合観戦した。同興行途中で、袴田さんが見守る中、姉ひで子さんが、WBC世界バンタム級王者中谷潤人（26＝M・T）とともにリングに登壇した。 　ひで子さんは「58年戦ってやっと勝ちました。無罪になりまして、巌もリングに上がるように言ったが、急に機嫌が悪くなりました。喜んできたのですが…。私が1人で代役を務めております。死刑囚ではなくなりました。皆様のご支援のおかげで今があると思っております。ありがとうございました。なるべく長生きしていきたいと思います」と感謝とともに報告した。 　また中谷は「微力ではありますが、無罪の活動をしていただき、後楽園ホールにともにいさせていただくことをうれしく思います」とあいさつした。 　袴田さんは再審開始決定を受けて釈放された14年5月に後楽園ホールでイベントに参加し、WBCから「名誉チャンピオンベルト」を贈呈された。15年3月には後楽園ホールで観戦。約9年ぶりの「聖地」観戦となった。日本プロボクシング協会は袴田巌支援委員会を設置し、日本ボクシングの聖地と呼ばれる後楽園ホールには、袴田さんが観戦できるよう定期的に「袴田シート」を設置している。