大谷去って低迷はより深刻に…救世主に指名されたのは花巻東の先輩左腕・菊池雄星
エンゼルスは現地時間11月27日(日本時間28日)、菊池雄星の獲得を発表した。MLB公式サイトなどの米メディアによると3年総額6300万ドル(約96億円)という大型契約。菊池は2022年からブルージェイズと結んでいた3年総額3600万ドルの契約を終え、アストロズからFAとなっていたが、倍増近い昇給となった。 【動画】アストロズの菊池雄星がレイズ打線を三者連続三振! 新天地で凄みを増す左腕のピッチングを見る 平均年俸で見ると1200万ドルから2100万ドルに跳ね上がる。今季はブルージェイズとアストロズで合計32試合に先発し、9勝10敗、防御率4.05という成績だった。特に評価を高めたのが、7月末のトレード期限前にアストロズに移籍後の変貌ぶりだった。 アストロズでは10試合に先発して5勝1敗、防御率2.70と成績を大きく良化させた。特に顕著だったが、スライダーを投げる割合の増加だった。 MLB公式サイトは9月の投球の球種別割合を紹介。「フォーシーム(直球)は36.6%にとどまり、スライダーが38.9%にのぼった」と軸球にスライダーを選んだことを伝えた。さらに「同時に直球の平均球速も自己最高の95.5マイル(約154km)に達していた」と投球の出力自体も抜群だったことを添えた。 エンゼルスのペリー・ミナシアンも同サイトの取材に対し、同様の見方を示した。「彼がスライダーを投げる割合は、確かにヒューストンでは増加していた」とうなずいた。そして「特にストライクゾーンに投げる速球については、今季後半戦の全投手の中で5本の指に入る」と速球の質の高さも指摘した。「球種を組合わせた上での投球能力、左投げのパワーピッチャー、空振りを奪う力、これこそが我々の求めていたものだ」とチームの補強ポイントに合致した補強だと強調した。 チームは今季、先発投手の防御率がア・リーグワーストの4.97で、球団ワースト記録の99敗を喫して地区最下位に沈んだ。巻き返しへ向けすでにカブスからFAのカイル・ヘンドリクスも1年250万ドルで獲得している。そのヘンドリクス、タイラー・アンダーソン、ホセ・ソリアーノ、ジャック・コハノビツらと組む先発ローテーションで、1番手の期待が寄せられている。 「我々は補強の手を緩めるつもりはない。特に先発ローテーションについては、FA市場もトレード市場も注視して、より強固にすることが可能ならば手を加えていく」 ミナシアンGMの鼻息は最後まで荒かった。9年連続でポストシーズンを逃すなど、長い低迷が続くチームを救えるか。まずはその旗手に菊池が指名された。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]