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消える仕事ではなく「今ない仕事」があなたを幸せにする

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 イスラエルの歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリは近未来について次のように予言している。「ほとんどの人間が仕事を喪失する「無用者階級」(useless class)になる。そんな未来はそう遠くはない」と。とはいえ、「今までも、いろいろな仕事が消えて、いろいろな仕事が生まれた。それは未来も同じなのだ。時代の変化に応じて消えていく仕事もあれば、生まれる仕事もある。雇用が消え仕事が消える未来は、また別の働き方や、別の仕事が生まれる未来でもある。」そう語るのが、『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください。』がベストセラーの著者・藤森かよこ氏(福山市立大学名誉教授)。藤森氏はこのコロナ禍の世の中とその行方をつぶさに観察し、思考し続けている。そこで見えてきた「将来日本で起こる本当のこと」を明かす。さらに、「生きる糧」をどう見つけ、強かに生きることができるかを指南する! この記事の写真はこちら ■「今ない仕事」を想像する楽しさ  最近読んで非常に面白かったのは、『大人は知らない今ない仕事図鑑100』(講談社、2020)だ。構成と文は上村彰子(かみむら・あきこ)と「今ない仕事」取材班である。漫画とイラストはボビコ担当である。監修は「WIPO(世界知的所有権機関)」日本事務所長の澤井智毅(さわい・ともき)だ。  『大人は知らない今ない仕事図鑑100』には、どんな「今ない仕事」が紹介されているだろうか?  「地球の豊かさを守る仕事」のひとつとして、「海洋ごみリサイクル建築家」がある。「海に流れ込んだ大量のプラスティックごみをリサイクルして海洋都市を建築する」(『大人は知らない今ない仕事図鑑100』34)仕事だ。海洋都市もしくは海上都市は是非とも実現させるべきだ。断層だらけの地震の多い国土の周囲に100個ぐらいのドーム付き海上都市を浮かべれば、日本人は揺れる大地の上に住む必要はなくなる。台風も津波も平気だ。  「健康と長寿のための仕事」のひとつとして、「ゲノム編集コーディネーター」がある。「生物が持つ遺伝子を、どのように改良したらいいかをコーディネートする。受精卵の段階で、病気の感染リスクなどを減らすことが可能」(38)だ。これは、すでに実現し、超特権的富裕層の間では実用化されているのではないか。それよりも、孤独死や孤立死を探知して遺体を処理するシステム構築のほうが望まれる「今ない仕事」だと思うが。  「人間的な体験のための仕事」のひとつとして、「アバター旅行ガイド」がある。「外出が難しい人のアバターロボットと旅するツアーガイド」(54)である。身体的な障害を持つ人々や高齢者は自由に旅行に行けないが、彼らや彼女の脳や神経器官をアバターと連結させれば、アバターが見たり聞いたり味わったりすることが、自宅にいる彼や彼女も体験できる。彼や彼女たちがそれに反応して発する言葉はアバターに瞬時に伝えられ、アバターが代わりにガイドに話す。旅支度せずに、飛行機に長時間乗らずに、ガイド付き海外旅行ができれば最高だ。  日本政府は「ムーンショット構想」の「誰もが多様な社会活動に参画できるサイバネティック・アバター基盤」として、「2030年」には、国民ひとりが自分のアバター10体を駆使して多くのタスクを実行できるようになると予測している。内閣府のサイトで公開している文書ファイルにそう書かれている。(https://www8.cao.go.jp/cstp/moonshot/sub1.html)  つまり、それが可能な技術はすでにあるということだ。でなければ、政府の文書にこんなにSFみたいなことが明確に記述されるわけない。2030年は10年後だ。10年などすぐに過ぎる。  体が不自由でも、脳さえ機能すれば、ひとりで何役もできる世界の実現は近い。1体のアバターは家事担当で、1体のアバターは旅行中で、1体のアバターはヴォランティア活動中で、1体のアバターは賃金労働中で、その他の6体のアバターはそれぞれ違う分野の学習をしていることになるかもしれない。  ジェイムズ・キャメロン監督の映画『アバター』(Avatar,2009)が実現するのだ。2045年の荒廃したアメリカで冴えない男子高校生がゴーグル型仮想現実機を装着し、オンラインゲーム世界の中でイケメンのアバターとなり大活躍する体験から学び現実の自分自身を変革するという内容のスピルバーグ監督の『レディ・プレイヤー1』(Ready Player One,2018)の世界が実現するのだ。

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