直木賞に金沢大文学部卒・米澤穂信さん 戦国舞台「黒牢城」、今村さんも受賞
第166回芥川賞、直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が19日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、直木賞は金大文学部卒の米澤穂信(ほのぶ)さん(43)の「黒牢城(こくろうじょう)」(KADOKAWA)と、今村翔吾さん(37)の「塞王(さいおう)の楯(たて)」(集英社)に決まった。米澤さんは「いろいろ書きたいことが胸の中にある。今は不安半分、楽しみ半分に考えているところだ」と喜びを語った。 【写真】直木賞に決まり、著書を手に笑顔の米澤穂信さん ●本紙土曜小説執筆 米澤さんは1978年岐阜県生まれ、書店勤務の傍ら小説を執筆し2001年デビューした。20年6月、北國新聞朝刊「土曜小説」で「友情」を執筆している。 受賞作「黒牢城」は初めて戦国時代を舞台にしたミステリー作品で、織田信長に背いた武将の荒木村重が、投獄した信長方の使者黒田官兵衛の言葉をヒントに、籠城中の事件に挑む。昨年のミステリーランキング1位を総なめにし、山田風太郎賞に続いて直木賞を射止めた。 著作は11年「折れた竜骨」で日本推理作家協会賞。14年「満願」で山本周五郎賞。他に金沢が舞台の「ボトルネック」がある。 今村さんは1984年京都府生まれ。2017年デビュー。受賞作「塞王の楯」は戦国時代の大津城の攻防戦を、石垣を造る石工集団と鉄砲鍛冶集団の対決に光を当てて描いた。 選考委員の浅田次郎さんは、米澤さんの受賞作を「戦国時代の籠城を背景とした上質なミステリー」、今村さんの作品は「熱量が高い。職人たちの戦というテーマも独創的」と評した。 賞金は100万円。贈呈式は2月下旬に東京都内で行われる予定。