「伝統的酒造り」ユネスコ無形文化遺産登録 「清酒発祥地」の奈良、技術継承と発信に意欲
「伝統的酒造り」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されたことを受け、奈良県内の酒造関係者らは6日、奈良市の平城宮跡資料館で記者会見を開き、喜びの声を上げるとともに技術の継承と酒造文化の発信への気持ちを新たにした。奈良では酒造りに関する古代の木簡が出土している上、中世の寺院が「清酒発祥の地」とされることから、「奈良酒」の歴史に関心が集まりそうだ。 会見で県酒造組合(27社)の北岡篤会長は「登録は大変喜ばしく、誇りに思う。しっかりと技術を守り、後世に伝えていきたい」と語り、「奈良の酒の魅力は多様性にある」と説明。酒造を核に食全体を見据えた「オール奈良」プロジェクトに向け、「いいお酒を造り、全体を盛り上げたい」とした。 平城宮跡には酒を造った役所の「造酒司(ぞうしゅし)」があったとされる。また、宮跡近くの長屋王邸跡では醸造を伝える木簡が出土しており、奈良文化財研究所と酒造会社はこれを参考に古代酒を再現するプロジェクトを展開している。 奈良では酒造りのもとに神仏への祈りがあったことを踏まえ、同研究所の馬場基・埋蔵文化財センター長は「奈良の酒造りは人々と神仏と自然の共生の結晶」と解説。さらに春日大社(奈良市)で、毎年3月の春日祭で神前に供える酒を醸造していることや、大神神社(桜井市)では祭神が酒造りの神ともされていることに触れながら、「伝統を丁寧に受け継いでいる」とし、奈良の酒造りに精神性があることを強調した。 また、県万博推進室の吉田暁史室長は「万博開幕まで半年を切ったタイミングで日本酒が登録され力強い。奈良の歴史文化とともに酒造りなどものづくりの技術を世界に発信する企画を検討している」と話した。
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