お堅い組織が手作りで挑むネットテレビ局 九州観光機構の「チャンネル九州塾」
九州各県や地場企業などでつくる「九州観光機構」(福岡市)が、7月から「インターネットテレビ局」と称してユーチューブ動画の定期配信を始めます。タイトルは「チャンネル九州塾」。発案した唐池恒二会長(JR九州相談役)らの人脈も駆使し、5月から動画制作を進めています。 【写真】機構のキャラクター「キューちゃん」もこっそり出演
会長自らが「塾長」
5月中旬、機構のスタジオで行われた初めての撮影では、既知の地元テレビ局員に協力を求め、アドバイスしてもらいました。「マイクのコードは、服にこのように通すといいですよ」「背景と服は同色でない方が見栄えがよくなります」 できる限り、自力で作ろう――。撮影ではこうした"臨時ゲスト"を招いて助言を受けるなど、「頼れるものには何にでも頼って」撮影に臨んでいます。 撮影スタジオは、会議室を活用。撮影チームの一つを率いるディレクターには、唐池会長の出身母体であるJR九州から硬式野球部の投手だった土屋勇介さん(35)を起用しました。 土屋さんは2012~20年の博多駅での駅員時代、オンラインのオークションなどを企画し、SNSの宣伝動画も手がけた腕を買われ、白羽の矢が立ちました。 唐池会長が自ら「塾長」として講師を担当。ともに番組に出演する「塾生」は、やはり同社で客室乗務員や受付などを経験した笠崎明日香さん(35)が務めることになりました。 番組スタート時に流れるタイトル「チャンネル九州塾」の音声は、土屋さんの子どもたちによるものです。
自前にこだわる理由
自前にこだわるのは、唐池会長の信念からです。「丸投げすればノウハウが残らない。自分たちで作り出すことに価値がある」 JR九州には、仕事を社外に簡単には発注しない気風があるそうです。外部から専門人材を招くより、社員を他社に出向させて必要な知識と経験を備えた人材を育て、事業を広げてきました。 シナリオの作成は唐池会長が中心となって手がけます。「JR九州の社長だった頃を含め、スピーチの原稿を事務方に任せたことはない」と言い、今回も仕上がりに満足がいかない箇所は撮り直しながら、制作に取り組んでいます。