日本人は実は投機好き? AIベンチャー役員の横領事件、使途はFX
AI(人工知能)を活用して病気を見つける画像解析ソフトウェアを開発するベンチャー企業で、経理担当役員が30億円もの金額を横領するという事件が発生しました。横領したお金はFX(外国為替証拠金取引)に投じられていたことが明らかとなっています。近年、横領事件が発覚した際、資金使途としてFXの名前があがるケースが増えています。かつては横領の理由はギャンブルや異性といったケースが多かったのですが、これも世相の変化を反映しているのかもしれません。
社内調査で役員の横領が発覚
6月9日、東京都内にあるベンチャー企業の役員が、会社の口座から20回以上にわたって、約33億円を着服していたとして、業務上横領の容疑で警視庁に逮捕されました。容疑者は横領を隠すため、会社の預金通帳の写しを改ざんしていたそうですが、社内調査で横領が発覚したことから会社側が役員を解任し、警視庁に告訴していました。横領した資金についてはFX取引に使われたことも社内調査で明らかとなっています。 かつて横領事件といえば、主な資金使途はギャンブルや異性でしたが、近年はかなり状況が変わっています。昨年10月にも日本マクドナルドで3000万円の横領事件がありましたが、容疑者の資金使途はやはりFX投資でした。2014年には、りそな銀行の行員が顧客から資金を私的に集めるという事件が発生していますが、集めた資金の大半がFX投資で消失しています。
個人によるFX取引は日本が突出
FXは堅実に運用すれば問題ありませんが、比較的容易に高い倍率の信用取引も可能であることから、危険な投機取引になりやすいという側面があります。日本人は投資や投機が嫌いで堅実であるとのセルフイメージがありますが、実態は必ずしもそうではありません。個人によるFX取引は全世界的に見ても日本が突出した規模となっており、諸外国の一部からは、日本人はかなりの投機好きであると認識されています。実際、初心者向けのマネー誌にFX取引が大々的に取り上げられているのは日本くらいでしょう。 悪いのは横領した本人であり、ギャンブルやFXそのものに責任があるわけではありません。しかしながら、ネットの普及によって手軽に高リスクの取引ができるようになっているのが現実ですから、こうした取引が横領などの背景になりやすいという認識は共有しておく必要がありそうです。 (The Capital Tribune Japan)