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与野党間で議論が高まる事業者の家賃支援は地方主導の枠組みで

配信

NRI研究員の時事解説

家賃支払い支援で与野党がそれぞれ独自案

2020年度補正予算を巡る国会審議では、中小・零細事業者の家賃の支払い負担をどのように軽減するか、が論点の一つとなってきた。実際には、それは、今回の補正予算ではなく第2次補正予算案の審議での大きな争点となるのではないか。2020年度補正予算が可決された直後から、第2次補正予算に向けた議論が始まる可能性が高い。 政府は、補正予算政府案に含まれる事業所に対する給付金制度が、この家賃支払いの支援もカバーしているため、追加措置は不要、との立場のようだ。これに対して野党共同会派は、既に関連法案をまとめている。2割程度の減収になったテナントの中小・零細企業などの家賃支払いを対象にして、不動産所有者が借り手のテナントから賃料を受け取れない場合には、日本政策金融公庫など政府系金融機関が一時的に肩代わりする。さらに、テナントが政府系金融機関に肩代わりしてもらった賃料を返済する期間も1年猶予する、というものだ。 野党に議論の主導権を握られた感のある自民党は、テナントの中小・零細企業に補助金などを直接給付する案を軸に、検討を進めている。

与野党案はともに既存の制度と重複感

与野党双方の案はいずれも、政府の緊急経済対策、2020年度補正予算案に盛り込まれた支援策と、重複感がある点に大きな問題があるのではないか。 自民党の補助金案は、事業者に対する給付金制度と重複してしまう。他方、家賃を政府系金融機関が一時的に肩代わりするという野党案は、政府系金融機関による中小・零細企業に対する低利・実質無利子融資と、実質的には変わらないのではないか。 家賃の議論が高まってきた背景には、家賃支払いが中小・零細事業者にとって、非常に大きな負担となっているからに他ならない。飲食店のコスト構造は、一般に売上高の約6割が原材料費と人件費、約1割が家賃であり、それ以外に水道光熱費などがある(「中小飲食店、背水の資金繰り 臨時休業で重い家賃負担」、日本経済新聞電子版、2020年4月26日)。 このうち、人件費の支払い負担については、事業者支援というよりも雇用維持の観点に基づくものではあるが、雇用調整助成金制度という公的支援制度が既にある。 また、売り上げが落ち込んだ事業者は、それに合わせて原材料の調達を削減する。それは原材料の納入業者の売り上げ減少となるが、納入業者への打撃は給付金制度でカバーされることになる。残された家賃の負担が大きいことが、家賃支払いに焦点をあてた政策論争をもたらしているのである。