ユネスコ無形文化遺産に登録「伝統的酒造り」 厳しさを増す業界環境 関係者が描く未来
メ~テレ(名古屋テレビ)
ユネスコの無形文化遺産に登録された「伝統的酒造り」。消費の低迷や、技術を担う人材の確保など、取り巻く環境は厳しさを増しています。関係者が描く未来とは。 日本時間で5日の朝、ユネスコの委員会は日本酒や焼酎などに代表される「伝統的酒造り」を、無形文化遺産に登録することを決めました。 酒自体ではなく、酒造りの知識や技術が対象となります。 コメや麦といった穀物を原料とする伝統的な麹菌を使って、古来より杜氏などの職人が築いてきた手しごとの価値が認められました。
祝賀イベントを開催
岐阜県飛騨市古川町にある、明治3年創業の渡辺酒造店。 「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録されたことを受け、祝賀イベントが行われました。 集まった地元の人や観光客に新酒がふるまわれたほか、先着100人には、この酒造店で製造する日本酒「蓬莱」がプレゼントされました。 伝統的な製法で作られた、日本の酒。 関係者は今回の登録によって、世界に"ブーム"が巻き起こることを期待します。 「伝統的酒造りの技術、日本酒の味を世界の皆さんにたくさん知ってもらうことで、世界の食文化に貢献できればいいと思っております」(渡辺酒造店 渡辺久憲社長)
高山市の酒蔵では、外国人観光客の姿が
飛騨市のお隣、高山市の酒蔵では、5日も多くの外国人観光客の姿が。 真剣に飲み比べています。 「素晴らしいね。甘みがあっておいしい」(メキシコから) Q.日本の伝統的酒造りが無形文化遺産に登録されたが 「当然だと思う。(この技術は)保存されるべきだと思う」 「様々な種類があると分かったし、自分の好みのものを見つけた」(アメリカ・マイアミから)
日本酒業界を取り巻く環境は厳しさを増している
一方で、業界を取り巻く環境は厳しさを増しています。 農林水産省によりますと、日本酒の国内出荷量はピーク時の1973年に170万キロリットルを超えていましたが、他のアルコール飲料との競合などにより減少基調が続いています。 去年は39万キロリットルと、最盛期の約2割まで落ち込みました。 「毎回なくなる前に買いにきています。本当においしいので、もっとたくさんの人に楽しんでほしい」(購入客) 「難しいお酒というイメージが、今までちょっとあったのかと思う」(購入客)