横浜F・マリノス リベンジ成功の理由
だが、見逃してはならないのは、前線で巧みにボールを収めて前を向いたり、シンプルにサイドに散らしたりして相手DFを揺さぶった端戸の存在だ。シーズン通してレギュラーを務めたマルキーニョスがリーグ戦後に帰国。代わって1トップを務めてきた藤田祥史も出場停止となって巡ってきた。 ■チャンスをつかんだ”代役”の端戸 「最初で最後のチャンス」(端戸)。齋藤と同期のこのアタッカーは、センターバックとボランチの間や3バックの間に、DFに寄せられないタイミングで顔を出し、起点を作って横浜の攻撃を活性化した。 広島のDFについて樋口監督は「プレッシャーをガツガツかけてこないところがある」と話しているが、むしろ、端戸のポジショニングと動くタイミングが巧みで、千葉和彦を始めとした広島のDFは、プレッシャーを掛けようにも掛けられないように見えた。 先制点の場面では、右サイドバックの小林祐三がドリブルでペナルティエリア内に切り込んでいってこぼれたボールをいち早く拾い、中央で待つ齋藤にボールを預けている。また、端戸が中盤に下がったり、サイドに流れたりすることで前線にスペースが空き、そこにサイドの兵藤慎剛や齋藤が走って飛び出し、広島のDFを混乱させた。 「この1年、ずっと悔しい思いをしてきた」と振り返った端戸は、こう続けた。 「今季はサイドでプレーしてきたけど、真ん中でプレーしたいと思っていた。少しは印象に残るプレーができたと思うから、来年は真ん中でやりたい」 ■準決勝の疲労が残っていた広島 一方、広島にとって残念だったのは、3日前に行なわれた準決勝がPK戦へともつれこみ、120分以上に渡る激戦になっていたことだ。その疲労が選手の身体を蝕んでいたのは、明らかだった。ディフェンスラインから攻撃を組み立てようにも、横浜の攻撃陣にパスコースを消されてしまい、受け手がもう一度、動いてパスコースを作り直す動きが目に見えて少ない。こうして業を煮やしたDF陣がロングボールを蹴り込むから、攻撃が単発、単調に終わってしまう。