父が亡くなり「500万円」の借金が発覚! 財産は「1500万円」の自宅だけど、ほかにも借金がないか心配。そのまま相続するのはNGでしょうか?
限定承認を選択する場合のデメリット
限定承認は、先ほど紹介したようなメリットがある一方、次にあげるデメリットについても考えた上で、本当に選択すべきかを考える必要があります。 ■相続人全員の同意が必要 限定承認は、相続人全員で家庭裁判所へ申述する必要があり、1人でも限定承認に反対する相続人がいるときは使えません。考え方の違いなどから相続人同士のトラブルになることも考えられますので、あらかじめ相続人全員でよく話し合っておくことが大切です。 ■手続きに労力がかかる 限定承認を選択すると、家庭裁判所にさまざまな必要書類を提出しなければなりません。また、限定承認が受理された後も、マイナス資産の債務精算手続きがあり、長い時間と労力がかかります。 ■みなし譲渡所得税が発生する場合がある 所得税法において、限定承認を選択すると、亡くなった人から相続人へ、相続が発生したときの価額で資産が譲渡されたとみなすことが定められています。 このため、対象資産の取得費用、譲渡費用、控除額などを差し引いた額がプラスの場合、譲渡所得として課税対象となります。納めるみなし譲渡所得税は遺産の中から支払われるため、相続できる遺産の額が目減りします。
相続が始まる前に、選択する相続方法を話し合っておこう
相続財産のうち、マイナスの資産がどのくらいか分からない中で、自宅は必ず手元に残しておきたい場合は、プラスの資産以上の債務を相続せずに済む限定承認は有力な選択肢です。 一方、限定承認は相続人全員の同意が必要なことなど、デメリットもあります。相続が始まってから3ヶ月以内という申述期日もあるので、事前に相続人同士で話し合って、スムーズな相続が行えるようにしましょう。 出典 国税庁 No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税) 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部