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中国に帰る「神戸のパンダ」25年の劇的な半生

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東洋経済オンライン

 20年前に中国から神戸市立王子動物園へやってきた雌のジャイアントパンダのタンタン(旦旦)が9月16日、25歳になった。人間なら約75歳だ。タンタンは、パンダの日中共同研究のために年25万ドルで中国から借りている。その貸与期限の7月15日までにタンタンは中国へ戻る予定だった。 【写真】王子動物園のタンタン  だが、新型コロナウイルスの影響で中国への直行便が飛ばず、帰国は延期中。年25万ドルは日割りで支払う。タンタンは神戸での20年間をどう過ごし、どのようにして中国へ旅立つのだろうか。

 タンタンが日本で迎える最後の誕生日の9月16日、王子動物園のパンダ舎の扉が開き、タンタンが登場した。タンタンは20分ほど歩いたり横になったりした後、「25」と書かれた2段組みの大きな誕生日ケーキに近づいて、飾りのブドウやリンゴを嬉しそうに食べ始めた。  タンタンの誕生日には例年、大勢の人が全国からお祝いに駆け付けるが、今年は水曜日で休園日に当たる。コロナ対策もあって、他の日に振り替えず、非公開で開催した。誕生日ケーキは飼育員さんのお手製で、1カ月前から準備した。

■パンダの担当になった年に出産を経験  タンタンの飼育員さんは2人。ともに神戸市の職員だ。梅元良次さんは1982年4月生まれで、就職した1998年4月から王子動物園で働いている。北園以外のすべての動物を飼育し、爬虫類を担当後の2008年4月にジャイアントパンダの担当になった。  もう1人の飼育員の吉田憲一さんは1968年11月生まれ。昔から動物が好きで、パンダは上野動物園でカンカン(康康)とランラン(蘭蘭)を見たことがある。王子動物園ではアリクイ、ペンギン、マヌルネコ、小猿などの担当を経て、2009年4月からジャイアントパンダを担当している。

 タンタンが王子動物園で過ごした20年の間には、悲しい出来事もあった。タンタンは2007年8月12日に死産。翌2008年に梅元さんがパンダの担当になってから約3カ月半後、タンタンは陰部を気にしたり、食欲が落ちたりといった出産前の行動をするようになった。  8月26日にタンタンが出産し、梅元さんは連日、動物園に泊まり込んだ。喜びにわいたのもつかの間、赤ちゃんは8月29日に死んだ。  死因は、母乳を飲めなかったことによる衰弱だ。赤ちゃんパンダの死因に多いものの、人の手でタンタンから搾乳して、赤ちゃんに吸わせることができていれば、助かった可能性もある。ただ、それには豊富な経験と技術が必要だ。しかも当時使っていたケージは、すき間から手を入れて搾乳できる構造ではなかった。猛獣であるパンダと同じ空間に入る必要があり、日本人には非常に難しい。

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