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消費増税で需要大幅減…懸念される「デフレスパイラル」

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世界的に超低金利時代へ突入している。そんな状況下、新型コロナウイルスの感染拡大で、事態はまさに「打つ手なし」。しかし、ここにきて注目されているのがMMT(現代貨幣理論)である。有識者から袋叩きにあい、さらにネット上でも支持派と否定派が議論を繰り広げている。MMTは救世主なのか、トンデモ理論なのか。本連載は、経済アナリストの森永康平氏の著書『MMTが日本を救う』(宝島社新書)を基に、MMTとはどんな理論なのかをわかりやすく解説していく。過去の著書には父・森永卓郎との共著『親子ゼニ問答』(角川新書)がある。

予想を大きく下回った、小売業界の「駆け込み需要」

まずは百貨店だ。今回の消費税 10 %実施の前月、 19年9月の販売額は前年同月比22.2%増の5619億円と大幅増だった。商品別の販売額を見てみると、軽減税率の対象となる「飲食料品」が同1.1%とわずかな伸びにとどまっているのに対し、アクセサリーを含む「その他の衣料品」が同47.3%増、「家具」が39.7%増、「家庭用電気・機械器具」は同71.8%増となっており、耐久財や半耐久財に駆け込み需要があったと考えてよい。 駆け込み需要の大きさをはかるのに有効な平均月次販売額を見てみると、増税2カ月前までの1年間(18 年9月~19年8月)は5295億円で、19年9月は平均より6.1%増加したことになる。一方、前回の消費税 8 %増税時は、前年同月比 25 %増の7362億円。こちらも大幅増となった。また、増税2カ月前までの1年間(13年3月~14年2月)の平均月次販売額は5621億円で、14年3月は平均よりも31%と大幅増だった。 これらを比較すると、今回の消費増税時の駆け込み需要は前回ほど大きくなかったことがわかる。だが、反動減が生じる消費増税実施月の数字を見ると、前回が同10.5%減、今回が17.2%減となっており、今回の消費増税時は駆け込み需要が小さかった割に、消費増税実施月の落ち込みが激しかったといえる。 スーパーマーケットでも百貨店と同じ傾向が読み取れる。増税2カ月前までの1年間の平均月次販売額と増税前月の比較では、前回は11.8%増、今回は1.7%増だ。増税実施月の落ち込みは前回が前年比3.9%減、今回は同3.7%減。百貨店同様、前回ほどの駆け込み需要が見られなかったが、増税後は反動減したというのは一緒だ。 コンビニエンスストアは少し異なっている。消費増税前月の販売額は前回が前年比7.6%増に対し、今回は同0.2%減である。なぜか。コンビニ業界で駆け込み需要が見られなかった理由は商品別販売額に隠されている。前回増税時は増税前月の「非食品」が前年比11.9%増だったが、これに対し、今回は「非食品」が同8.5%減。非食品にはタバコが含まれている。前回は消費増税前に買いだめしようという駆け込みが発生したが、今回はキャッシュレスポイント還元策が増税と同時に実施されたため、タバコに対する目立った駆け込みが見られなかったと考えられる。 このように業態別に見ると、前回に比べ駆け込み需要が小さかったにもかかわらず、消費増税実施月の反動減を含む落ち込みは前回同様だった。そう考えると、今回の消費増税が小売業に与えたネガティブインパクトはかなり大きかったといえる。

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