昭和のステータス「注文住宅」が絶滅危惧種となっていた…!「不動産インフレ」を噛みしめる住宅営業マンの「哀愁の回顧録」
壊れゆく「昭和のステータス」
バブル華やかかりしころ、住宅販売の営業マンにとって花形と言って良かった「注文住宅」は、いまや建て売りの分譲住宅市場に飲み込まれようとしている。 【マンガ】「憧れのタワマン生活」が一転…!残酷すぎる「格差の現実」 「いつか、わが城を持ちたい」 「自分の城を設計段階から考えて、オーダーメイドの住処を持ちたい」 誰もがこんな野心と野望を胸に秘めていたバブルの熱気は、またたく間にしぼんでいった。 私は、そんなバブルの残り香を感じながら住宅営業の現場に身を置いてきたが、「注文住宅」の栄華はいまや見る影もなくなってしまった。 私が前職のハウスメーカーに入社した1994年、当時の持家の着工数は年間に50万戸を超えていた。その後、消費税の駆け込み需要で過去最高となる64万戸/年を記録したのが1996年である。しかし、それ以降市場は縮小を続け、現在では約3分の1の水準にまで落ち込んでいる。 国土交通省が毎月発表する新設住宅着工統計によれば、注文住宅は持家に分類されるが、2024年10月の持家着工数は35ヵ月ぶりに前年比プラスに転じた。じつに3年近くにわたって前年を割込むこれまでに例を見ない冷え込み方である。 プラスに転じたとはいえ14ヵ月連続で月に2万戸の大台下回っており、減少に歯止めがかからない。年間の着工数は2023年が22.4万戸であり、今年は21.4万戸程度になると予測される。 その要因は、多くの人に容易に想像できることだろう。住宅価格の異様な高騰とその原因である人手不足が背景にある。もはや「注文住宅」は、構造不良に陥ってしまったのだ。
積水ハウスの「平均単価」が高すぎて…
大手住宅メーカーが公表している直近の住宅の単価をご存じだろうか。 住友林業は4400万円、大和ハウスは4900万円である。断っておくが、これは建物だけの価格であり、土地は別途、用意する必要がある。そう考えれば、いまや注文住宅を建てるにしても、1億円以上を見積もる必要があるわけだ。 デフレ時代を生きてきた私たちにとっては目をむく価格である。 さらに、昨今、ネットフリックスなどでなにかと話題となっている積水ハウスの平均単価にいたっては5184万円と初めて5000万円の大台を突破した。坪単価に換算すれば125万円で、一般の消費者に手が届く価格ではなくなった。 この背景には単に「インフレの影響だ」と言ってしまえば、そうなのだが、もっと構造的な問題もある。ひとつは人手不足、そしてもうひとつは、消費者の価値観の変化である。
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