トヨタ社長も苦言を呈した「2030年代半ばガソリン車販売禁止」の真実
「日本のクルマは全部EVになる!?」「あと10年でエンジン車に乗れなくなる!」。昨年12月、大手メディアが報じて大騒ぎになっている「2030年代半ばにガソリン車販売禁止」の方針。トヨタ社長自ら、政府とメディアに物申した今回の騒動の正しい見方とは? 徹底解説する! 【写真】ホンダ e、日産リーフなど ■トヨタ社長が強調した6つのポイント 昨年12月初頭、大手メディアがこぞって「2030年代半ばに日本でもガソリン車販売禁止」という衝撃的な見出しでニュースを報じた。その報道の前段として、同年10月26日の所信表明演説で「国内の温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロとする」との方針を示した菅首相の、いわゆる「カーボンニュートラル宣言」があったことは明らかだ。 それを受けての「ガソリン車禁止」の報道は世間にインパクトがあったらしく、以降「日本のクルマは全部電気自動車(以下、EV)になる!?」とか「あと10年でエンジン車に乗れなくなる!」と、ハチの巣をつついたような大騒ぎとなった。 ただ、この報道にはかなり問題がある、と指摘するのはモータージャーナリストの佐野弘宗氏だ。 「経済産業省の有識者会議で議論された『自動車の電動化、電動車』を曲解したものと言わざるをえません。ここでいう電動車はEVだけでなく、プリウスのようなハイブリッド車(以下、HV)や、エンジンに小さなアシストモーターを追加しただけのマイルドHVも含まれます。 現在、議論されている自動車の電動化とは『こうした燃費向上デバイスを持たない純エンジン車はやめる方向がいいかもね』といった意味で、いきなりすべてのクルマからエンジンが姿を消すという話ではありません。 実際の記事もよく読めば、30年代以降にもHVは存続すると書かれていますし、現実的にはその時点でもまだまだHVのほうが主力である可能性が高い。なのに『ガソリン車の新車販売禁止』といった扇情的な見出しは、意図的なものを感じます」