仕事を続けやすい環境が整った学校現場で女性管理職が育たない理由
女性管理職が増える組織と増えない組織の違いとは
取材して感じたのは、まず女性管理職が増えるためには、候補者の母数が必要だということだ。教員は育児休暇も3年認められており、代わりの教員の補充もあるなど出産を経ても続けやすい環境が整っている。そこからさらに、管理職候補者になる「ミドルリーダー」を育てられるかが鍵になる。山梨県のように女性自体は多くても、ミドルリーダーになる女性が少ないと、登用率の低迷につながってしまう。 管理職になることで引っ越しを伴う転勤や単身赴任が生じるかどうかも大きい。家庭生活の両立が図れる条件をなるべく整えることは登用率を上げるためには必須だろう。相模原市は広域な自治体ではないため、転勤になることはなく、有利な条件が元々整っている。 ただ、最も重要なのは「男女の別と能力を切り分けて考える」ことだろう。女性管理職比率が36.2%に上る相模原市の場合、当事者が口々に「男だから、女だからと考えることがない」と話した。女性教員を集めた研修なども行っていない。普段の業務から能力重視の人事異動を貫いているからこそ登用が増えたのだと感じた。これは今の「女性活躍推進」の風潮の中で、無理矢理女性を押し上げるといったこととは対極にある。相模原市教委の登用方針や制度の運用方法については、民間組織でも学べる部分があると感じた。