新型BMW5シリーズツーリングは、今や少数派に嬉しい1台だった 改めて考えたいワゴンの魅力とは?
クルマ好きのひとりとして感謝したい
いずれにせよ、新しい5シリーズのツーリングは、文句つけようがない。xDrive、つまりフルタイムの四駆だから、タイヤさえきちんとしてものを選べば、ウィンタースポーツ愛好家や雪国のエンスージアストにも勧められる。 強いていえば、床下にバッテリーをぎっちり積み込むことを前提に設計されているため、少しデザインに無理が生じている。まず、全長が長くなり、特にフロントのオーバーハングがいままでのBMWより長いので、間延びした雰囲気になっている。 また、同じ理由から、腰高な印象があることも気になる。けれど、BEVとエンジン車でプラットフォームを共用することのネガが、これだけしかないとも言える。 人を乗せ、荷物を積むことを考えると、背の高いSUVのほうが有利であることは間違いない。ひと昔前だったら、「SUVよりステーションワゴンのほうが走りはいい」という意見もあったけれど、技術の進歩とはすばらしいもので、SUVだってよく走るようになった。 したがって、いま、あえてステーションワゴンを選ぶ理由は、そのスタイルが好きだから、ということしかない。こだわりの少数派に向けて、これだけ力の入ったステーションワゴンを開発するBMWには、クルマ好きのひとりとして感謝したい。 ありがとう、BMW!
文・サトータケシ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)