税金でゆすり、暴力で脅し、ときに人を殺す……国家は「チンピラ暴力団」と同じだという「絶対に知っておくべき真実」
国家という「合法的」強盗団
ところでボダンによると、主権は法によって正統化されるとともに古典的自然法による制約を受けなければならないという。で、その自然法の中には「所有権の神聖不可侵」が入っている。ということは主権も、嫌がる所有者の財産から強制的に奪い取ってはならないはずなのだが……、徴税権ってそれに矛盾しませんか? じつは、この矛盾はいまだにキチンと解決されていない。だから今日でも、税金は国家による強奪であると主張する学者が少なからず存在するのである。 このような国家=暴力団説は別に珍奇なものではない。政治学や神学では昔から言われている。中世前期のヨーロッパ精神世界を支配した教父哲学者アウグスティヌス(354─430)も「国家とは大きな強盗団ではないのか」(『神の国』4・4)と問うているし、ドイツの社会学者マックス・ウェーバー(1864─1920)も国家を「ある特定の地域の内部で、正当な物理的暴力行使の独占を要求する人間共同体」だが、その本性は悪魔的なものであって、政治に関わる人間は「悪魔と契約を結ぶ」者である、と述べている(『職業としての政治』)。 こうして、本質的には強盗団と等しい国家権力を〈正しい〉支配のように信じ込ませる手段が法律なのである。法律が、国家が許すこと・許さないことを明記して、それが正しいとお人好しな人民に思い込ませている。 江戸時代のように一般人が賭場を開張することと、国家が競馬、競輪、ボートレース、カジノを運営できることと、どこに違いがあるだろうか。それは後者に実定法によるお墨付きがあるだけのことである。 さらに連載記事<あまりに理不尽…「働いたことがない無職の中年男性」が「元妻からもらったお金」で買った宝くじで当たった「300億円」のゆくえ>では、私たちの常識を揺さぶる「問いかけ」から法哲学の面白さ楽しく解説しています。ぜひご覧ください。
住吉 雅美