無名の刺し手たちに思いを馳せる、津軽こぎん刺しの美に触れる青森への旅。
2021年に石田舞子さんの実家の一部を展示室に。祖母・昭子さんの作品と、収集した希少な古作こぎんを手に取って見られるほか、舞子さんが編集したこぎん刺しの書籍などの資料も豊富。手仕事の奥深さに触れられる。
●青森県弘前市高屋本宮453・1 TEL.090・5194・1278 営業時間:10時~17時 入館料1,000円 ※予約制。予約可能日はインスタグラム(maiko.ishita)で確認。
たくさんの刺し手が現代のこぎん刺しを支える。
津軽こぎん刺しは、より身近なものに形を変えて現代に受け継がれている。 「弘前こぎん研究所」は81年の歴史を持つ会社。日常使いできる小物のほか、和装の帯も手がける、こぎん刺しの老舗メーカーだ。
「伝統的な藍と白の色合わせだけではなく、カラフルなものもたくさんありますよ。今の暮らしの中で使って、魅力を知ってもらうことが、伝統を繋ぐうえでも大切だと考えています」とは、社長の千葉弘美さん。
現在は、青森県伝統工芸士の資格を持つスタッフをはじめ、ベテランから若手まで、数十名の刺し手に仕事を委託している。社員は皆、技術を習得済みで、子育て世代の千葉さんもその一人。若い担い手を増やしていくのが、これからの課題だという。
見れば欲しくなる手仕事の小物は、大人のファッションにも手軽に取り入れられる小さめのバッグやポーチ、カードケースなどが人気。自分のために、とっておきの逸品を見繕うひとときが楽しい。
弘前こぎん研究所
こぎん刺し体験を旅の思い出に。 前身の研究所から1962年に社名を変更し、津軽こぎん刺しの普及と制作を手がける。社屋は建築家・前川國男の作として有名で、建築好きにとっても必見のスポット。こぎん刺し体験をした後はコースター2枚分のキットを持ち帰れる。 ●青森県弘前市在府町61 TEL.0172・32・0595 営業時間:9時~16時30分 土・日・祝日休 こぎん刺し体験2,000円
撮影・徳永 彩(KiKi inc.) 文・黒澤 彩
『クロワッサン』1116号より
クロワッサン オンライン